すれ違い〜何処にでもある日常の切り抜き〜

汐風 波沙

Prolog

前書き

この作品は、僕の全力を注いで書く作品です。

僕の性癖だったり、僕の作品の特徴が、かなり入っているものになることをご了承ください。

では、本編をどうぞ



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





早速なのだが、僕は女の子の幼馴染が居る。

名前は、芹澤紗芽せりざわゆめ

と言う。


「ねぇ、大きくなったらわたしと結婚してくれる?」


こんな約束、幼少期の頃沢山したような気がする。

確かに、この頃の僕らは幼かった。

幼いが故にこんな約束をし、僕は未だにこの約束をずっと覚えていた。


「当たり前だよ、僕達はずっと仲良しだよっ!!」


そう、僕らはずっと仲良しなのである。

それ以上でもそれ以下でもない、ただの幼馴染。

つまり、僕らは恋人にもならないし、結婚もしない関係なのである。

結局何が言いたいのかと言うと、僕らは幼馴染ということだ。

幼馴染なんてそんなものだろう。誰にだってそのはずさ。

異性の幼馴染が居る奴なんて60人に一人くらいの割合なのだろうから。

と言うよりも、なんで今更僕はこんな事を思い出して感傷に浸っているのだろうか……





その瞬間、僕は目を覚ました。

そう、僕はきっと夢を見ていただけなのだろう。

なら、早くベッドから出て顔でも洗って目を完全に覚ましてしまおう。

僕は起き上がろうとしたが、起き上がれなかった。

体が重いとかではなく、物理的に無理だった。

何故なら、僕の隣には成長し美人になった紗芽が寝ているのだから。

と言うよりも、何故こいつがここに居るのだろうか。

昨日眠りについた時は、居なかったはずなのだが……

そんなことを考えていると、


「やっと起きた、今日は中学校の卒業式なのに遅刻する気なの?」

「ご、ごめん……」


俺は、枕元に置いているスマホのホーム画面を見た。

06:30

登校する時間はいつも07:30頃だから、まだまだ時間には余裕がある。

ちなみに紗芽の服装は、しっかりと中学校の制服である。

胸はあまり成長はしていない。

もう少し寝かしてくれてもいいが、ここは起こしに来てくれたことへの感謝を伝えるべきだろう。


「起こしに来てくれてありがとう」


僕は、紗芽の頭を撫でた。


「えへへ、どういたしまして」


頭を撫でられてご機嫌なのだろう、少しだけ頬を赤くしながら笑みを浮かべている。


「……そういえば、高校からは私たち違う学校に通うんだったね」

「そうだな、寂しいか?」

「うん、春木はるきの面倒を見れなくなるのは、寂しいかな……」


あ、僕の名前を言っていなかった。

僕は、花崎はなさき春木。

何処にでも居そうなモブだ。


「なあ、そろそろ起き上がってもいいかな?」

「だめ、もう少しだけこのまま……」


そう言うと、僕に抱き着いてきた。


「わかった、あと10分だけだぞ。それ以上は、母さん達が怪しむ」


僕も優しく抱き締め返す。

何度も言うようだが、僕らは決して付き合っていたり、許嫁である訳でもないただの幼馴染だ。

それ以上の関係にはなることは無い。


「……そろそろ10分だ」

「うん、じゃあ、離れるね」


彼女に抱き締められていた温もりがゆっくりと消えていく。

それを僕は愛おしく思っていた。

彼女の温もりが完全に無くなる頃には、僕は部屋を後にしていた。









Prolog 春木目線________

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