第35話
〈ユウ視点〉
「・・・30歳以下と付き合う気はないの!笑」
伊織と付き合う話をしようとしたが
向こうにその気は初めからないようで
シャワーを浴びて帰ろうとするから
せめて番号だけでも交換して
距離を詰めていこうと思ったが…
「・・・・私ね…結婚したいのよ…
次付き合う人…30歳以上の人と
結婚を前提にしてちゃんと付き合いたいから
遊びで付き合ったり、都合のいい身体だけの
関係の男の子は…必要ないのよ…」
つまり俺は伊織にとってそうゆう対象にすら
入ってないんだと言われたようで
少なからずショックを受けていた…
伊織が乗ったタクシーが見えなくなって
行くのを見ながら複雑な気分だった…
普通なら、ずっと気になっていた女を抱けて
ツイてた位に思うかもしれねーが…
ある意味これ以上は絶対に先には進めないと
突き付けられた気がした…
ユウ「・・・・はぁー…」
タクシーの光が完全に見えなくなり
誰もいない薄暗い街頭の下でため息を吐いた…
・
・
木曜、金曜と、伊織と初めて話した
珈琲屋に足を運んだが会える事はなく…
このまま何もなかったように
忘れていくべきなのかと思っていると
駅のテナントに入っているドーナツ屋に
伊織の後輩を見つけた…
伊織も一緒かと思い店内に入ったが
後輩の女は一人のようで無駄足だったかと思った
山「今は35歳以上しかダメらしいです」
女からそう言われ思わず声を上げると
驚いた表情で俺を見ていた…
ホテルで抱いたあの日
伊織は会社の事を口籠もった瞬間があるから
結婚したい理由は間違いなく
仕事に何か関係しているんだと思い
尋ねると更に驚いてる…
女は人に聞かれてはまずいからと言い
カラオケ屋に移動してから伊織の話をしてくれた
伊織は店の店長をしていて
売り上げの穴埋めを社長から
度々強要させられていたようで
何であんなに悩みながら
買い物をしていたのかが分かり納得した…
山「 コース契約を取って…
初めて泣いてるのを見ました…
相手は伊織さんの前からのお客様で…
社長から言われて…
無理なコース契約をさせたから…」
女の言葉を聞きながらため息しか出ない…
伊織は誰かに埋めてほしかったと言っていたから
きっと立ち飲み屋にいた日だろう…
だからホテルに一緒に入ったんだと理解した…
伊織は明後日の日曜日に
婚活の集まりに参加するらしく
いい加減な気持ちなら邪魔しないでくれと
後輩の女から言われ…
伊織なら直ぐに相手は見つかるだろうと思った…
後輩の女の言う通り、伊織は結婚をして今の店を
辞めた方が幸せになるような気もしる…
(・・・・・・・・)
あの日、伊織を抱い時に俺の中で答えは出ていた
だから日曜日に伊織がいるあのホテルに向かった…
まともに会って話したのは一回だけだし
伊織に対して明確な〈好き〉という答えは
まだなかったが…他のヤツの手を掴む位なら
俺の手を〝掴んで欲しい〟と思ったから…
一緒に住んで結婚して子供が産まれて…
きっと俺は伊織を愛する時がくる気がした…
だから、手を差し出したんだ…
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