第18話

〈ジン視点〉







仕事終わりの週末に

後輩の優と直樹の3人で

いつも通り飲みに出ていると

変わった居酒屋を見つけた…






ジン「なんで女性はタダなんだ?」




ナオキ「あぁ…相席屋って所ですよ」




ジン「相席屋や?なんだそれ?笑」






直樹から変わった相席屋の説明を聞き

なんとなく面白そうだなと思った





ジン「ここに入るぞ!笑」





と言って店の中へ入って行った

別に出会いが欲しいわけでもなく

ただ単純に体験してみたかっただけだ

他の二人は面倒くさそうに後ろから着いてきて

「直ぐに出ましょうね」と釘をさしてくる




元々今日は仕事関係で紹介されたお店に

付き合いを兼ねて顔を出す予定だったから

長居する事はできないし、俺も1時間位楽しんだら

出て行くつもりで入った





店内に入ると男性スタッフが近づいて来て

説明をされていると優がスタッフに





ユウ「あの席がいい」





と二人組の女性が座っている席を指差した…

さっきまで乗り気ではなかった優が

急にそんな事を言うから

俺と直樹は驚いて顔を見合わせた…





ス「あーあちらは2名様なので…

  他の席に3名様でご来店されている方も

  いますからそちらの席をご案内しましょうか?」





スタッフの言う事はごもっともだった

仮にもここは出会いを探す場なのだから

人数も均等になる席を案内するだろう




だが優は「いや、あそこで」と引こうとせず

スタッフも困った顔をして「確認して来ます」

と言って2人組の元へ近づいて行った






ナオキ「知り合いなんですか?」





ユウ「・・・名前も知らない…」






優はそう呟いてスタッフと話す

女性達をずっと見ていて

女性2人は笑って頷いていたから

多分OKしたんだろう…

優はそれを確認すると口角が少し上がっていた




席に案内されて優のお目当てが

どっちなのかは直ぐに分かった…



席の前になると俺や直樹を先に座らせて

自分は通路側の端に腰を降ろしたから

優の目の前に座っているお姉さんの方に

興味があるんだろう…





2人は今日のお昼に入ったお店が一緒だったらしく

少し顔見知りだったようだが女性の方は

優に対してあまり良いイメージはなさそうだ…





優がこんな風に自分から動く姿を見たのは

初めてだったから僕と直樹はもう1人の若い子と

話をして優とそのお姉さんの

距離が近づくよう協力した






だが…どう見ても…

お姉さんは優に・・・

と言うか僕達3人に興味を示さず

連絡先を教えてくれそうな雰囲気ではなかった…





お姉さんがトイレに席を立っているうちに

「次に行こう!」と無理やり話をすすめて

逃がさないように店から連れ出した





行く予定だった店は明日にでも

また集まって行けばいいかと思い

カラオケに連れて行って

また俺と直樹は若い方の女の子と3人で楽しく

回し歌をして優とお姉さんを2人っきりにした





(せめて番号位は聞き出せよ!)





そう思って振り返るとお姉さんの姿は無く

バツの悪そうな顔をしたユウが1人で座っていた…




(・・・・え!?・・)




何で?と思いながら尋ねると「帰った…」と

言う優を見て、何か怒らせるような事を

言ったんだなと思った…




カラオケを時間内まで楽しみ

ひとみちゃんをタクシーに乗せて見送ってから

当初行く予定だったバーに3人で向かった




(まさかこんなに早くおひらきになるとは…)




優と彼女が親しくなったら

3次会はゆっくりした場所に移動しようと

思っていただけに少しビックリした…




別に百戦錬磨というわけでもないが

優がフラれるなんて話は聞いた事もなかったし

会社の女性社員達からも人気もある優が…




( 優が…フラれたか… )




バーに着いてからお姉さんに何を言ったのかを

聞き出して俺と直樹は固まった…






ナオキ「・・・・それは…帰っちゃいますね…」





ジン「仲良くなりたく無いのか?笑」





ユウ「・・・・・・・」






黙ってグラスを持ち上げて酒を口にする

優を見て(不器用な奴だな…)と思った…




どうやらお姉さんと優は家が近所らしく

1年位前から顔を見て知っていたらしい…






ジン「長い片想いだな?笑」






ユウ「別に好きなわけじゃないですよ…」






ジン「1年も前から気にしてるのにか?笑

  何とも思わないなら…お姉さんみたいに

  気にもとめていないんじゃないか?」






ユウ「・・・・・・・」






ナオキ「まぁー好きかどうかは知りませんが

  気になってる存在なんでしょう?笑」






ユウ「・・・・・・・」






ジン「近所ならまた直ぐ会えるだろうし?

  今度会ったら謝った方がいいぞ??」







まさか…

1ヶ月後には2人の間に結婚の話が出るなんて

誰も想像していなかった…





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