そんな日があってもいいじゃない
御餅
第1話 日常と非日常
「ただいま~」
つぶやくような言葉が真っ暗な部屋に向かってかけられる。当然帰ってくる言葉ないが男は気にしない。それがこれまでの当たり前だし、きっとこれからの当たり前だからだ。
男は着ているスーツを脱ぐと水を一杯飲み、部屋のデスクにつく。そうして、徐にヘットセットを取り出すとコントローラーを持ちゲームをはじめる。男の唯一の楽しみである。朝早く起き会社に行く、仕事は求められたことを淡々とこなし、帰路に着く。残業もあり家に着くのはいつも八時半は過ぎている。そんなクタクタな状態でもゲームはできる。ゲームしている時だけはその世界に没入し楽しめる。ある時は戦争の兵隊として戦い、ある時は優者になり世界を股にかけて悪と戦う、かわいいあの子となかった青春を取り戻しに学生にも戻れる。それは普段の日常がモノクロに対しゲームは彼を色づかせる。そうして人生の潤いに帳尻が取れている。なかなかどうして数奇ものである。
男は現実というものに興味を持たない・・・ではなく、興味を持たないようにしている。期待なんてしてはいけないのだ、期待をするから期待通りにならないと落ち込むし、精神が不安定になる。そう思い込んでしまうような今までの人生だった。
父が転勤が多い仕事のため転校が多く、周りにうまく馴染めず、虐められ、次の学校に転校になる度に次そうではありませんようにと願い、期待しそして打ち砕かる。これは男の要因の一つに過ぎず、それ以外に多くの期待と挫折があり、今の男の考えがある。
男はいつも通りゲームをする。今日は何をしようか? そんな風に首を回しながら考えを巡らせる。いつも通り、ネットゲームプラットフォームのホームページにログインする。今購入したものはひと段落ついたものも多く、今日は新しいものに挑戦したいと思っていた。
「ハロウィンか・・・」
ふと、その文字が目に入る。今日は10月31日ハロウィンである。昔はそこまで定着していないイメージのハロウィンだが最近はその勢いはなかなかのものである。男の近くの商店街でもハロウィンだなんだといい年したおじさんやおばちゃんが仮装をして賑わいをみせていた。ゲームにおいてもイベントごとは重要視されがちである。限定のスキンやイラスト、イベントが行われたりなどユーザーにとっても楽しみだったりする。
しかし、男は違った。選んだのはゴリゴリのFPSゲーム。第二次世界大戦を舞台にしたマルチ対戦型のゲームである。戦争中にハロウィンを楽しむものなどいるわけもなく、ハロウィンとは無縁だ。
男はイベントごとを嫌う。そんなもの見た日には間反対に走りたくなる。世間やメディアはイベントを謎のごり押しをするがそれがどうしても耐えられない。だってそれは自由なはずなのに、なぜか強いられているかのように集団で家族で個人で意味もなく理解をせずただ、楽しむ。大多数の人間はそうなんだろう。男はそんなふうに思っているからだ。周りがするから私もするは嫌なのだ。
そうして男はFPSにをする。一人でも多くの人間をキルできるように立ち向かう。世の中が死者が現世に戻ってくることお祭りの最中、男は一人でも多くの敵をあの世へ送る。送ることを強いられているのである。意地である。
世の中の日常に抗っているのである。ここが世間の日常ではない非日常であると。
そう、男は只々ハロウィンを楽しんでいるみんながうらやましいのである。
「僕もハロウィンをしたい!・・・くそッ!!」
男は戦う。みんなの日常を壊したいため。
さあ、みんなはどんなハロウィンを過ごしているかな?
ふふふ、楽しいハロウィンだといいですね・・・
ハッピーハロウィン!!
そんな日があってもいいじゃない 御餅 @tonjiru_
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