第19話 19:33分
何とか震えながら橋を越えました。
もう一本、短いですが橋があります。
風怖い
恐怖で少し迷いもありましたが、進むしかありません。
幸い、周りに原付の皆様もおり、集団心理の様なもので少し安心感がありますが、怖いです。
ただ、原付の皆様は普通に橋を越えて行きます。
私はガチガチで越えて行きます。
ああ、たぶんカッコ悪いんだろうな。。
橋を下るともう見慣れた街並みに。
ここまで来ると後はもう何もない普通の街中で、片側2車線の大通りを走り、その後ガソリン満タン返しなので、ガソリンスタンドに寄りました。
小さなタンクなので、この旅の間、何度も給油しましたが、これが最後です。
もう手慣れたもんです。
こんだけ苦労したバイクもここまでくると不思議なもんで、少し愛着があります。
ガソリンタンクを閉めて、
「ありがとう」
と、声を掛けました。
そこから先は、気を抜かない様に自分自身を戒めて、気をつけて、気をつけて、走りました。
記憶の中のカッコいい自分はもういません。
ガチガチのブルブルの肩に力入りまくりの超安全運転のライダーです。
ここまで来るのに、何度心が折れかけたのでしょう。
生駒の山で雨が降り始めたあの時は、本当にもう帰れないかと思いました。
諦めたかったのですが、諦め方も分からず、進むしかありませんでした。
何度か諦める選択肢を模索しましたが、結果進むしかありませんでした。
まるで息苦しい、自分の人生の様です。
ただ、軽い気持ちでいつものコンビニに行くような格好で、ただただ出掛けただけだったのに、こんなに色んな困難が待ち構えているとは思いませんでした。
この甘い考えは、ほんと私の甘ちゃん人生そのものです。
人生も振り返り始めた精神状態で、ゴール寸前まで来て、到着が実感し出すと流石に目から汗の様な涙が溢れて来ました。
疲れ、寒さ、老い、雨、怖さ、悔しさ、悲しさ、腕がパンパン、哀愁、恥ずかしさ
そして
安堵、達成感、感謝
バイク返却完了時刻は
19:33分
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます