感電死→目覚め→どことも知れない空 〜15年かけた俺と俺の宇宙船装備が不似合いな異世界の空にて傭兵となった〜

本好コー

第1話 未知との遭遇(笑)



(エェーッ)

口に出そうと思ったが、

体の感覚がないのだから無理な話だ。


どれ程経っただろうか。

一瞬だった気がするし、

時間が進んでいるという感覚もある。


「なるほど、夢だったのか」


夢が覚めた後の

ふわふわとしたアレに近い。


『それが、夢じゃないんですよ』


優しげで儚げで申し訳なさそうな声が

全く響かずに聞こえる。


「…まだ夢か」


『本当に違うんです、〇〇さん』


違うのか。それは声さん

(仮)に失礼なことした。


『いえ、失礼なのは此方で...』




めっちゃ申し訳なさげやん。


こっちが気になるわ。


ていうかさりげなく心読んだな。


超常か?未知との遭遇なのか?

指を光らせて合わせたりするのか?


ちなみにあれって

ポスターのみの演出で

本編に出てこないらしいな。


『お望みとあらば』

いやいや、いいですって。


んで、ここは病院ですか?

なんか死にかけとかになって

コールドスリープでもして、

大分未来まで来ちゃいました?


そうだ、

コールドスリープ云々は詳しくないが、

あの時確かに感電したはずなのだ。


『〇〇さんは確実に感電死しております。

 そして、ここは...

 えーと...あなた方の言う

 天界のような物でしょうか』


まじすか。成仏してましたか。


ん?


でもそれなら、声さん(仮)は何故そんな

申し訳なさげなのか...?


『本当にすみません!そうなんです、

 その…我々の雷のせいで輪廻の輪から

 外れてしまっているんです...!』


ま、まぁ...それくらいなら別に

...寧ろこのまま

死んだ後も意識を保ててる方が

ありがたいっていうか...


別に死んだ後、

記憶なくして別人になったって...ねぇ?


『ほ、本当ですか!?良かったぁぁぁ...』


声からして

一筋の光明を見たような感じだ。


まぁこのまま漂うんなら辛いし、

それこそ地獄だけど...


『勿論そんなことには致しません!

 此方の持てる全力をもって貴方方を

 なんとかします!』


へぇ、ていうか...優しっ。良い人っ。

人かどうかは知らんけど...

悪い奴に騙されそう。


ん?…貴方、…?


んでも、なんで俺は輪廻の輪とやらから

外れたんですか?


『そ、それが...

 そもそも私たちがいなくても

 この世界は回ります。

 ですので、私達は...

 もう一人いるのですが、

 言うなれば緊急事態に備えた

 安全装置のような物なのです。

 普段からやる事がなく、

 それに飽きたもう一人が

 遊び半分で特別措置の戒め...

 あの特大雷を、

 適当な場所に降らせたのです。

 そのせいで、ちょうど貴方方が

 巻き込まれてしまった…

 と言う訳です』


なんだそれ!!そいつに謝らせろ!!!


『すみません!本当にすみません!』


あいや、

貴方を怒ってる訳じゃないんですよ。


寧ろ相方(?)

の尻拭いする苦労人って感じで

同情とか親近感とか沸いてくるわ。


まぁいいや...

じゃあ、その全力なんちゃらを

宜しくお願いします。


『はい!今すぐに!』


そうして再び、

俺の視界は白く染まっていった。

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