おちょんちょん

エリー.ファー

おちょんちょん

 混然一体となったシュークリーム。

 それが私の異名だ。

 多くの勇者を葬って来た。

 本当の名はおちょんちょんだ。

 人類を絶滅一歩手前まで追い込んだ張本人。

 グリードリヒおちょんちょん。

 それが私だ。

 お前は六代目勇者であると聞く。

 よくぞこの黒の谷までやってきた。その点は褒めてやろう。

 だが、私の後ろにある希望の泉へ行かせることはできない。なぜなら、それが私の使命であり、命の意味だからだ。

 私は魔族を統べる魔王である。




 貴族として、この場を借りて言わせてもらおう。

 お前えらのような奴隷共に我ら貴族が謝罪することなど一切ない。

 いいか、貴様らは生まれた時から、何の権利も持つことなくこの世に存在したのだ。何も得られず、何も掴めず、何者にもなれないまま死ぬのだ。

 脳を殺し、意思を失くし、感情を制御して、ただ我ら貴族の命令だけを聞いていればいいのだ。

 我が名は、ガルシアンおちょんちょん。

 いいかっ、我が名はっ、ガルシアンっ、おちょんちょんっ。

 貴様らの上に立ち続け、貴様らが常に崇め続ける存在だっ。

 その汚い脳みそによく刻み込んでおくんだなっ。




 地球は頂きますよ。人類の皆さん。

 え、何故かって。

 資源がたくさんあるから、と言うと思いましたか。

 残念でした。この宇宙には地球以上に素晴らしい星などごまんとあるのです。

 私がこの星を狙った理由、それはね。

 暇つぶしですよ。

 ははっ。

 驚きましたか。そうです。その表情が見たかったのですよ。

 皆さんは、これから私の暇つぶしによって死ぬのです。単純な悪意によってその短し生涯を終えるのです。

 悲しいですか、悔しいですか、叫びたいですか。どうぞどうぞ、盛大にやってください。

 この場所から眺める皆さんの、その滑稽な姿。なんとも無様で笑えてきますよ。

 いやはや、最高のエンターテイメントですよ。

 今まで、この宇宙の中で、何故誰も地球を支配しようと、そして、破壊しようと思わなかったのでしょうかね。全く不思議な話です。

 地球の皆さんも、何故私のようなものが現れる前に対策の一つや二つたてておかなかったのでしょうかねえ。

 甘い。

 甘すぎます。

 その結果が、これ。

 本当にどうしようもない下級動物ですね。ペットにする価値もない。

 私は、第八十代銀河連盟総督及び第十軍隊総司令官兼指揮官兼第十一地区研究機関、通称ラルドウ研究室長。

 名を、おちょんちょんぴろっぴろバーストと言います。

 人類の皆さん、このおちょんちょんぴろっぴろバーストが、人類を恐怖のどん底に叩き落してあげましょう。

 あっはっはっはっは。




 刑事さん。

 確かに、あんたの推理は正しかったよ。証拠も揃ってる。なんの言い逃れもできない。

 ただね、まだ毒薬は残っているんですよ。

 ほら、見て下さいよ。とっても綺麗な色をしているでしょう。

 僕はね、これを希望の色と呼んでる。

 え、皮肉なわけがないでしょう。心の底からそう思っていますよ。

 何せ、俺の妹をいじめ殺した、あのクソ野郎どもを地獄に落とした毒薬なんですからね。

 許せるはずがないでしょうっ、あんな奴らをっ。妹の無念を兄貴である俺が晴らしてやらなかったら、誰がやると言うんですかっ。

 でも、もう終わりだ。

 すべて終わりました。

 くっ。ぐぐっ。はあ、はあ。

 ほら刑事さん。

 僕はもうこの毒薬を綺麗に飲み干しましたよ。もう、助からない。

 いや、逆かな。

 これで、僕はもう助かったんです。妹のところに行けます。

 さようなら。

 もし、もしよかったら。

 僕の名前を忘れないでください。

 僕の、僕の名前は、尾崎 丁仁。おざきちょうじんです。変わった名前でしょう。母親が丁寧に仁義を通す男になって欲しいという思いで、丁仁とつけたようです。

 あぁ、安心して下さい。

 あだ名は、おちょんちょんです。

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おちょんちょん エリー.ファー @eri-far-

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