■14 愛花の弱み

カレー作りで使った材料や食器の片づけを終えた俺は、鍋にまだ残っているカレーに目を向ける。

鍋にはあと1,2回はカレーが食べられる程度のルーが残っていた。

まだカレーを数日味わえると思うとニヤニヤが止まらない。




そんなことを考えていると先ほどまでこちらを見ていた愛花は目を瞑ってウトウトしていた。


「愛花、眠たいのか?」


俺が問いかけると、むくっと顔を上げる愛花。


「うぅ……はい、ちょっと今日はいろいろ出歩いたので疲れてしまったようです」


愛花は目を擦りながら話す。


「了解、それじゃ俺が風呂出しておくから、しばらくそのまま休んでなよ」

「はぁ~い」


少し気の抜けた声を横目に俺はお風呂場へと向かう。




風呂場手前の脱衣所に到着した俺は温度を41度ぐらいに設定した湯船を張る準備を行う。

準備を終えたのでリビングに戻ってみると、愛花は再び机に突っ伏していた。


「後20分ぐらいしたら風呂の用意が出来るから時間になったらまた声掛けにくるからな。それまで休んでな」

「は~い」


愛花が机に突っ伏しながら返事をするのを確認した俺は部屋に移動する。

部屋に戻ると俺は現実に戻り、20分タイマーをかけて春休みの宿題を進めることにした。




程なくして20分タイマーが鳴ったので、1階のリビングにいる愛花の様子を見に行くことにした。

リビングへ向かうと、まだ机に突っ伏している愛花がいた。


「愛花ー、風呂の用意が出来たぞ。早く入って寝な」


俺は申し訳ないと思いつつ、机に突っ伏している愛花の肩を揺らして起こす。


「う~ん、兄さん……」

「起きろー。風呂の用意できたぞー!」

「はぁ~い……もうちょっと……」

「愛花さ~ん、お風呂ですよー。気持ちのいいお風呂ですよー!」

「んにゃ……あ。ありがとうございます……行ってきますね」


眠気眼で脱衣所へ向かう愛花を見送る。

愛花は夜に弱い。眠たそうにする愛花は非常に可愛い反面、危なっかしい側面もあるので注意しておきたいところだ。

俺は愛花が脱衣所に入ったことを確認すると、再び部屋へと戻り宿題に戻る。




しばらくたって、気が付くと時計の短い針が11時を回っているのに気づく。


「……もうこんな時間か」


俺は風呂に入って寝ようと思い、脱衣所に向かうことにした。

リビングに目をやるとまだ明かりがついている。

俺はリビングへと足を進める。


「愛花ー……?」


だが、リビングには愛花の姿はなかった。もう寝たのだろうか?

俺はリビングの電気を消して脱衣所へと向かう。


ガチャ――

俺は脱衣所の扉を開けると、そこには下着姿の愛花が愛花がいた。


「……え?」


愛花は赤面しながら手に持っていたパジャマの上着で胸元を隠す。

思考停止していた俺は動けずにいた。

すると、愛花が話かけてくる。


「……あの、兄さん。いくら兄さんでも見られると恥ずかしいんです!!」

「――ごめんっ!」


愛花の言葉ですぐさま俺は思考を再起動させて脱衣所の扉を勢いよく閉じる。

俺は脱衣所の扉を背に当然の疑問を愛花にする。


「……ってかいつまで風呂入ってたんだよ!」


すると脱衣所の中から愛花の声が聞こえる。


「……すいません兄さん。気づいたらお風呂で寝ちゃってたようです」

「はぁ……なるほどね。 ……俺、リビングにいるから上がったら教えてくれ」


俺は愛花にそう伝えるとリビングの方へと向かった。




リビングの明かりを再度付け待つことにする。

テレビもついていない静寂の中、俺はテーブルに座り先ほど見た愛花の体を思い出す。

邪念を振り払っていると、愛花が着替えを済ませてリビングへとやってきた。

髪は先ほどと同様に下した状態でパジャマを着ている。


「お待たせしました。さっきはすみません、バタバタしちゃって」

「いや、俺こそいきなりで悪かったよ。風呂は俺が入った後片づけておくから、あとは俺に任せて愛花は寝ちゃうといい」

「ふぁ…い。そうさせて頂きますね。おやすみなさい」


愛花は軽く欠伸あくびをしながら返答すると、リビングを出て階段の方へと向かった。




再び静寂が訪れ、俺はリビングの明かりを消して脱衣所へ向かう。

脱衣所に入った俺は、慣れた手つきで衣服を脱ぎお風呂場に入る。

体を簡単に洗い湯船につかる。


「ふぅぅ……極楽、極楽」


俺はお風呂場の天井を見上げて1日の疲れを吐き出す。

ちょっとトラブルはあったけど、今日も無事一日を終える事が出来た。

また宿題は終わってはいないが、明日中には終わらせるように頑張ろう。




俺は風呂に入った後、簡単にお風呂場を片付け終える。

自室に戻った後、机の上にある宿題をチラっと見るがもうしばらく現実逃避しても大丈夫だろう。

俺はそのままの状態でベットにダイブすると、ベットがパフッと俺を包みこむ。

ベットは俺をすぐさま眠りの世界へと連れて行った。


――――――――――――――――

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