トリトリレター

藤泉都理

お菓子





 ねえ。知ってる?

 

 ハロウィンの夜。


 淡い空色の時計台が月光を浴びて銀色に染まる時。


 よくないものが夜の帳から一斉に集まるんだって。









「どっちがてっぺんを取るか」

「これで勝負をつけようじゃねえか」


 お互いに目つきと態度の悪さは天下一品。

 一人はサラサラのポニーテールをなびかせ。

 一人はもふもふのくせっけを揺らめかせ。

 両手には軍手を装着し、腰にはトングとゴミ袋をぶら下げて出陣する少年二人。


 学校には時々行って、朝に昼に夜にと時間問わずゴミ拾いに明け暮れて、ポイ捨てする人間には老若男女問わずにメンチ切り。

 いい事をしているにもかかわらず、いつしか不良と呼ばれるも、気にせずにゴミ拾いを続けていた二人が出会った時。

 似たような立場に友情が芽生え、るでもなく。

 負けじと張り合う日々の幕開け。

 拾ったごみは数知れず。もはやこの町にはポイ捨てゴミは見当たらず。しかし決着はつかず。

 

 出会ってから、十月十日の本日。

 仏の思し召し、と。勝負の題材の授与に感謝をし。

 犬歯を見せ合い、並び立った。











(2021.10.30)


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