オタクですが!これでも釣りクラブしています?

SHilf

プロローグ 私は三絡 奏 (みつがね そう)

太陽が昇る手前。地平線からうっすらと明るくなってきた。

ここは、島根県出雲市。出雲大社の西方1kmにある海岸で、国譲り、国引きの神話で知られる砂浜。

そんな砂浜にある弁天島に日が差し始めたとき一人の少女が自転車に乗っていた。


 「出雲は~おいしい魚がいるよ~がいっぱいいるよ~。アジとスズキに~アコウ。眼玉が大きいアオリイカ~。春を呼ぶメバルも冬から釣れるよ~、ついでカサゴもね~」

オリジナルの歌を歌っている彼女の名前は三絡 奏。この春に、出雲〇陵高校通う一年生だった。中身は普通の高校生。しかし、少し違うところは巫女衣装を着ていることだった。

そんな彼女が向かった先は、砂浜が広がる大社築港だった。


この時期は週末になると、早朝から釣りをするため人が来ていた。多いときには30人を超えていた。

釣り人が狙うのはアオリイカ。3月後半から7月までの数か月、アオリイカの季節。いわゆる春アオリの季節だった。

 「うにゃー着いたー。今日も沢山人がいるー」

 自転車を停めるよりも周りの様子が気になっていた。

「おっ!来たなおねえちゃん」

と、年配のおじさんたちが話しかけてきた。

「おはようございます。ねえねえ、おじさん今日の釣果は?」

「そうだなあ、さっき、あっちのほうで一杯あがったぞ。大きさはわからないなあ」

「へー、おじさんは?」

「残念ながら、コウイカだなあ」

「でも、釣れてるからいいね。ちょっと聞いてくる」

大きさが、気になったのか話はほどほどで、先ほど釣った釣り人のほうに行った。

 「おはようございます。お兄さん。烏賊見せて。」

 「今日も来たのか、昨日の烏賊よりおおきいぞ。1キロ以上はあるかな。見たかったらそこのクーラーボックスに入ってるからみていいぞ」

 「ありがとう」

 了承を得た、奏はクーラーボックスを開けた。

 そこには、綺麗に透き通った王者の貫禄があるアオリイカが横たわっていた。

 「うにゃー。綺麗な姿だあ。」

 「そうだろう、まだまだ小さいほうだからな。2キロクラスになると、びっくりするほど引きがあるぞ」

 「うにゃー。楽しそう。私もこの春からするんだ」

 「そうかあ、じゃあライバルだな」

 「うん、その時は容赦しないよ」

 と、話が終わると朝から夕方まで釣人と話していた。

 

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