第9話[隣の家のガキ]

ある日、母から隣に住む子供の話しを聞かされた。

俺より一つ年上で女の子らしい。

特段興味が無かった俺は右手の甲にある勇者の紋章を眺めながら適当な返事をしていた。


「それでね、今日遊びに来るらしいの」

「タッティーナ、仲良くしてあげてね」


仕方ねぇな、他ならぬ母上様の頼みだ。

精神年齢がお兄さんのこの俺がガキの面倒を見てやんよ。

などと思いながら母に返事をする。


「うん、分かったよママ」


さーて、何して遊んでやろうかな。

鬼ごっこか?

隠れん坊か?

そんな事を考えていると、玄関のドアがノックされた。


「あら、早速来たみたいね」


そう言うと母はガキを出迎えに玄関へと向かった。

俺も母の後を追う。

一体どんなガキだ?

女って言っても初めが肝心だかんな。

ガキとはいえ、一つ上。

直ぐにお姉さんぶる筈だ。

ここは一つ、誰が上かハッキリと分からせてやらないとな。


「タッティーナ、この子が隣の家の女の子よ」


「はじめまして」

「ホンダ・セツコです」


俺はその場で気絶した。


第9話 完

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