第3話[死]

お巡りさんが優しいお巡りさんで良かった。

公然猥褻罪の俺の話しを親身になって聞いてくれた。

そして母にビンタされる俺を守ってくれた。

本当に感謝している。

出来れば、ずっと我が家に居て欲しかったな。

そう思いながら、俺は母とセッちゃんの説教を聞いていた。

しばらく自室でボーっとし、俺はある事を思いつく。


「よし、山に篭り自給自足のスローライフを送ろう」


そう思い、俺は必要な道具と母の預金通帳をリュックに入れ、書き置きをして旅に出た。

家を出てから十分。

何故か職質を受けてしまう。


「お兄さん、すみませんね」

「リュックの中身を見せて貰ってもいいかな?」


それはマズイ。

リュックの中には嫁のフィギュアだけじゃ無く、猪を狩る為に包丁を入れてある。

もし、それを見られたら……。

額に冷や汗をかきながら俺はお巡りにタックルをして逃走を試みる。

膨れあがったお腹を揺らし、息を切らせながら走る俺。


「待って、危ない」


お巡りさんの言葉でハッとする。

目の前は赤信号。

迫り来るトラック。

俺は必死になって避けた。

そのせいか体制を崩し、ガードレールに頭をぶつけて俺はこの世を去った。


第3話 完

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