第64話 キャビネットルーム


【345日目 東京時間10月18日2300時頃 ワシントン時間11月18日1000時頃 ホワイトハウスキャビネットルーム】



 私たちがグアムから日本に帰った一週間後。


 私たちはワシントンに来ていた。

 メンバーは私、コリンズ大将、エマ園長、ミラ副園長、茜ちゃん、勇者御子柴君、魔王伊集院君の7名。


 昨日はアンドルーズ空軍基地到着後に全員でいったんカロラマ地区にある自宅に入って一泊。


 今日の朝にはホワイトハウスのキャビネットルームで私たち7人と大統領及び安全保障会議メンバー交えての懇談会が開催されている。


 いちおう我々は私以下7人全員がテーブルに着席させてもらってる。


 日本人高校生の3人はかなり緊張してるけど私の使徒と司祭なんだから堂々としてほしいと思うけどしょうがないか。17歳の高校生だしね





 冒頭に簡単な挨拶を交わしてから大統領さんが今日のこの懇談会のメインテーマ、核心の議題に触れていく。





「ミズ・コーディ、再会できて光栄です。お元気そうで何よりです。

聞くところ、韓国では大変な目に遭われたとのことで心配いたしました。


また、航空機による宇宙間ゲート探索の労をとっていただいて感謝いたします。その結果、驚くべき事実が判明したわけです。


なんと中朝ロシア国境のロシア側で探知された反応が吸血鬼が異世界からやってくるのに使っている宇宙間ゲートであることがほぼ確実であることが明らかになりました。

本日はこのことについてミズ・コーディのご意見を聞かせていただければと」




 大統領さんに意見をお願いされたので思うところを発言してみようかな。




「はい。お気遣いありがとうございます。

既にご存じのことと思いますが吸血鬼が北朝鮮を国家レベルで支配して一大根拠地としています。

その吸血鬼たちはここ地球でも、私アリス・コーディの異世界イースでもない、全く異なる異世界。別宇宙に由来するスキルを持っていました。

つまり、別宇宙と繋がる宇宙間ゲートがこの地球、おそらく北朝鮮の近傍に存在する可能性があるのです」




 私はキャビネットルームに参集しているアメリカの最高首脳たちの面々をひととおり見回して反応を確かめる。



 ……皆さん真剣に聞いてくれてるね。



「私が思うに、先日私たちが実施した空中探査において露朝国境のロシア側に探知された反応が、宇宙間ゲートならば。

速やかにこれを封印して別宇宙とこの地球との間で行き来が出来ないようにしなければならないと思います。


その理由は、どんな恐ろしい生命体、魔獣、悪魔、場合によっては邪悪な神までもがこの宇宙間ゲートの向こうに存在している可能性があるからです。



もちろんそれほど危険な存在はいないかもしれません。

しかし私の居た異世界イースにおいては凶悪な邪竜たちが巣食う『クレティーシャ』という別宇宙に繋がる宇宙間ゲートが存在していたのです。


その宇宙間ゲートからは二頭の竜亜神がイースに侵入して実に7000年間ものあいだイースの人類を苦しめてきました。

その2頭の竜亜神は私が討伐しましたけどね」




 言いたいことの要旨を全部語ってしまったので何かコメントないですか〜的に周りを見回してみる。


 お、国家情報長官が何かあるみたい。




「なるほど、大変に分かりやすい説明ありがとうございます。

質問なんですけど、宇宙間ゲートの封印とはどのようにして行うのでしょうか。誰でもできるものなのでしょうか?」




「宇宙間ゲートの封印は地球においては私だけが実行可能だと思います。


もちろん宇宙間ゲートを大量の金属や岩石で埋め固めるという方法もとれるでしょうけど、異世界においてあるレベル以上の魔獣や悪魔、邪悪な神ならなおのこと、金属や岩石で埋め固められようとも、彼らにとっては何の障害にもならないのです。


このような理由から宇宙間ゲートの封印には私の特殊スキルの能力を使ってゲートを空間ごと分断して周囲の空間から隔離するという方法を取ります。

このやり方ならほぼ完全に封印が可能です。


要するに、宇宙間ゲートの封印は地球においては私アリス・コーディにしか実行できないというわけですのでご注意ください。

ただし。私よりも上位の能力を持つ存在がいれば私の施した封印は突破されるでしょう」



 私は宇宙間ゲートに関連するいくつかの所見について発言を続けていく。



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