異世界帰りの美少女亜神は最強の神技「時空間操作」を使って人類の守護者になってみる

Cranberry

第1部 地球帰還編

第1話 帰ってきた美少女亜神

【1日目 午後5時頃 フロリダ州タンパ・ベイエリア西海岸】




 アメリカ合衆国フロリダ州西海岸、タンパ・ベイエリア大都市圏。


 フロリダ州タンパは日本でいえば沖縄本島ほどの緯度にあって温暖な亜熱帯気候。温かなメキシコ湾を臨む沿岸地域は米国有数のビーチリゾートとなっており避寒地としても知られる。





 そのビーチリゾートにある高級リゾートホテル、ホテルの屋上の上空1mのところ。何もない空間に突如「丸い窓」が開いた。



 時刻は夕方5時になったところで日没直前。周囲は明るいが「丸い窓」の中もほのかに明るくて中が見える。


 丸い窓からニュッと白い華奢な手が二本。窓の縁をしっかり持つと中にいた人物は一気に外に飛び出した。



 身長およそ165cm、体重は50キロくらい。髪はアッシュブロンドのショートストレート、目の色はブルーグレー。年のころは16歳くらいの白人種だが全体的に顔の造作が日本人的で柔らかく優しい印象を与える美少女である!




♢♢




 異世界イースとの宇宙間ゲートが設置されている閉鎖異空間から飛び出した私は建物の屋上から周囲の風景を見渡してみる。


 あー、リゾートホテルかコンドミニアムの屋上って感じだね。いったいどこなんだろう? すごく景色が綺麗。そうだ、ステータスを確認してみよう。地球でもちゃんと魔法が使えるかな? 



「自分のステータスを閲覧するーーステータス!」



名前 アリス・コーディ

種族 人(女性) 

年齢 0(身体年齢16)体力G魔力F

魔法 闇弾9水弾7光弾7土弾7風弾7

   火弾9恐怖9嘔吐9悪魔通信5

   竜通信5ステータス5

   暗視5遠視5隠密5浄化5

   探知5魔法防御6念話5飛行8

   睡眠5魔獣調教1動物調教5

身体強化 筋力5持久力5衝撃耐性5

   睡眠耐性7麻痺耐性7毒耐性6

   恐怖耐性9嘔吐耐性9

   反応速度5防御7老化緩和6

称号 亜神アリス・コーディの依り代

   魔獣の調教師 動物の王



 ……うん、魔法「ステータス」はちゃんと使える。名前もアリス・コーディになってるし問題は無さそうだね、マイホームの開口部を閉じておこう。誰かに見られたら厄介だからね。



「マイホーム開口部、閉鎖!」



 私のコールに合わせて「空中の丸い窓」は瞬時に消滅した。





 太陽は海に沈みつつあり茜色に染まった空が美しい。ホテルは南北に細長く伸びる砂州の上に建っていて沈む太陽の反対側(東?)は幅2kmほどある内海となっている。その向こうは見渡す限り平坦な大地が広がっている。


 魔法「遠視」を使って遠くを見通すとおよそ30km離れたところに大きな湾に面して高層ビル群が建っている。






 この景色は日本じゃ無さそう。まずはここがどこなのか、それを確かめてからどうやって日本に行くかを考えよう。

 ええっと、この建物がリゾートホテルならフロントに行けばパンフレットとか地図とかないかな? 行ってみよう。



 屋上に設置されている建物の中に入るドアを開けようとするけど鍵がかかっているのか開かない。屋上のフェンスの方へと歩いていく。




 フェンスの下を覗こうとするもフェンスと屋根の端まで1mほどのスペースがあって下が見えない。



 ……しょうがないな、「飛行!」



 私は魔法「飛行1」を起動してフワリと空中に浮くと滑らかに空中機動をしてフェンスを超えて建物の側面に非常階段がないか探すーーあった!


 非常階段に着地して誰かに見られないうちに急いでドアを開けて建物の中に入る。良かった、外から開けられた。




 建物最上階の内部はカーペットが敷かれた廊下になっていて左右両側にはドアが並んでいる。この構造はホテルっぽいね? 廊下をテクテクと歩いていく。


 エレベーターは……ありました、下へと。フロントは一階って書いてあるから一階へ。


 チンと音がして扉が開く。エレベーター出口から見て左側にフロント。クリスマスシーズンなんだろうか? クリスマス風のディスプレイが施されている。





 カウンターの中には従業員の女性が二人いる。20歳ぐらいの健康的な金髪白人女性と20代後半に見える黒髪白人女性。二人とも私の方を見てにこやかに微笑んでいる。



「Good afternoon madam」



 フロントの若い方の女性が話しかけてきた…… 英語だ! あんまり得意じゃないから英会話能力をコピーさせてもらおう。

 20代後半に見える黒髪白人女性。ごめんね。ーー英語技能ーー転写! ヨシこれで英会話と読み書きができる。


 いまのは亜神(時空)である私が使える神技の一つ「精神構造干渉G」を使って黒髪の白人女性が持つ英語技能に関わる知識・技能を転写させてもらったのです。

 なお、私はこのほかに神技「時空間操作A」「エネルギー操作G」「ベクトル操作G」「物質創造G」「生命体干渉G」「神域干渉G」が使えるチート亜神なのです。私って控えめに言ってもここ地球においてはぶっちぎりで最強だと思います。神技の他に「魔法」も使えるしね!

 ……それはさておき、ここが何処だか分からないから地図がないか聞いてみよう。



「こんにちは、フロントのお姉さん。えっと、今から外を散歩したいんですけど、周辺の地図とかありませんか?」


「はいありますよ。一寸待ってくださいねーはいこれです」



 20歳ぐらいの健康的な金髪白人女性からA4版程の紙に描かれた地図を渡された。



「ありがとうございます」



 私は渡された地図をジッと見てみる。記載されているホテルの住所からすると末尾FLなのでアメリカ合衆国フロリダ州。太陽が海に沈んでいくんだから西海岸か。


 ……フロリダ州か。地球に帰ってきたという実感が心の底から湧き上がってくる。ようやく帰ってこれた。





 ……今から一年半前、日本人男性25歳で妻も子供もいたのに精神をコピーされて15歳の少女にされて異世界イースに放り出された。


 色々と死にそうな目にも遭ったけど生き延びた。ラスボスの邪竜神も討伐できたし。これで異世界イースでの務めは果たしたので日本に帰って元妻で人妻の有朱遥香さんと子供に会いに行くのだ。


 私ってオリジナルの有朱宏治(男 25歳)から心をコピーされただけの影のような存在なのです。だから元妻で人妻の有朱遥香さんにお会いして正体を明かすことなく16歳の外国人美少女アリス・コーディで通して、なんとか仲良くしてもらって女性同士でキャッキャウフフしたい! 私が日本に帰る目的です。決して寝取りではありません。


 なお。私は亜神でもありますから、ついでに地球人類を守護しても良いです。元妻の有朱遥香さんが平穏に生活出来ないと困りますからね!






 ……さて。日本に行くには身分証明書が必要だからまず首都ワシントンに行きたいね。お金全然持ってないけど、どうやって行こうかな。フロントのお姉さんに聞いてみようか。




「すいません。ここから東に20マイルくらい行ったところにある大きな都市ってなんて名前ですか?」


「東に20マイル? ……ああ、タンパ市ですね」



 ……そうか、フロリダ州タンパか。確かアメリカ中央軍司令部があるところだね。そこに行って中央軍司令官あたりにお願いしてみようかな? ワシントンに行きたいって言えば何とかなりそうな気がする。何しろアメリカ統合軍の司令官は大統領から直接指示を受ける米軍の最高幹部だからね……




 ……とか考えていると20歳ぐらいの健康的な金髪白人女性が話しかけてきた。



「あのーお嬢さん? もしかしてタンパに行きたいんですか? これから夜になりますからあまり安全とは言えませんよ?」


「うん、できれば行きたいんですよね。なんか交通手段とかあります?」



「そうですねえ、みなさん車をお使いですね。でなければタクシーを呼ぶかですけれども?」



 そうだよね、ここはアメリカなんだから日本みたいに便利な公共交通手段は無いよね。


 ……お金も車も持ってないし……まあ、歩けばいいか。20マイル=32キロメートルくらいなら魔法「飛行」と徒歩を組み合わせれば1日でたどり着くだろうし。私の体は弱いけど疲れたら「時空間操作」で作り出す閉鎖異空間の「マイホーム」に入って寝ればいいしヒッチハイクすれば誰かが乗せてくれるかもしれない。何しろ私はどこから見ても人畜無害な高校生くらいの美少女なのだから。


 すると。



「私はもう勤務時間終了だから良かったら私の車に乗る? 家がタンパだからついでだし遠慮なくどうぞ?」



 ヒッチハイクしてないのにヒッチハイクできた! さすが美少女は違いますね。得です!





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る