第19話 番外編 姫そのまま保存会
亘一と姫が通うA1高校は県内有数の進学校であり、文武両道をうたう歴史ある高校である。そのため、通う生徒たちも中学時代は部長、学級委員長、生徒会を務めてきたものが多い。
部長や学級委員長などをやらされるとイジメには敏感である。徴候があると事情聴取をされたり、責任を問われたり、怒られたりしてきたからだ。下手したら自分に逆風が吹きイジメの対象になったりもする。そうなっても長を務めているとあり得ないとして流される事もあった。
また、小学生時代に刷り込まれているものがある。『いかのおすし』と『1人で歩かない』だ。登校班の班長などを努めると低学年など
『小学生が下校します。近所の皆さま見守りお願いします。』お願いの放送を流したものだ。
『姫そのまま保存会』の面々はそんな彼らで構成されている。
そんな彼らに女子の修学旅行時ボッチ行動は事件だった。姫は明らかにクラス女子と行動をともにしていない。クラスの女子は10人と偶数なのにバスでは1人席に座っている。お店に1人で入ってご飯を食べている。
「また、1人でいる。」
「危ないだろ、誰かついていってやれよ。」
「いや、これは俺らが後方支援して守るしか」
庇護対象を1人にできない登校班班長PTSDと元、長仕込みイジメセンサーが炸裂してしまったらしい。
「これ、何が原因であーなった?」
「佐和山が悪いよな。あそこカップルで座るから女子が奇数になってしまう」
「俺が男子1人席です。姫の隣、座っていい?」
「そこは俺がいく。」
「お前、話したことないだろ?」
「そこは俺が」
「ダメ。だめ。ダメ。ここはクラスのバス席くじで決めるとか公平にして誤魔化そーぜ。」
「香織も不味いよな。あいつワザと姫から女子引き離してるからなー」
「まじかー今日のホテル同じ部屋じゃねーの?」
「なんで香織、姫がターゲットなんだ?」
「隣で写真撮ったら自分の顔がデカイの目立ったからだな。」
「あー姫、小顔。香織、フランケンシュタインだからな。」
「一回香織ここらで絞めとこうぜ。どうやる?」
香織はA1高校最寄りで、同校を占める割合が一番多い中学出身である。ちなみに相井と亘一などこのクラス40人中8人がそこ出身である。
そんなこんなで姫をほっとけなくなった面々が最初は男子ゆえに公言できないし、あまり目立ってかえってさらに姫がイジメられないように『距離を置いた姫の友達のつもり』になって始まったのが会である。そのうちに姫の天然ぶりにはまりこのままでいて欲しいと思う様になってから『姫そのまま保存会』に。それが『姫に彼氏を作らせない会』をサブタイトルにする様になったのである。
次回から保存会の面々のうち、登場した人物のインタビューを載せていこう。
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