男子校に行ったので幼馴染に告白しようと思います
盆回し
プロローグ
——フル回転する脳内、上がり続ける体温、隣から香る女の子のいい香り。
夏が近づいてきていると言っても、日が沈むとまだまだ肌寒い五月中旬七時ちょい過ぎ。
とある遊園地にあるベンチの上で、二つの影がそっと肩を寄せ合っていた。
そんな二つの影のうちの一つ、俺こと
片思いの相手というのは、今俺の隣に座っている赤毛の可愛い女の子。名前は
住んでいる家が隣同士という、まあ俗に言う幼馴染というやつだ。
彼女とは生まれた時から高校入学まで、実の兄弟のように遊んできた。幼稚園も小学校も中学校も。
そんな家族同然の楽だが、俺は今日、彼女に告白をするつもりでいた。
……ふと彼女の方へ顔を向ける。
彼女の綺麗な赤毛と少し焼けた肌を、日の沈んだ遊園地に灯る電灯が二割増しで美しくさせる。
…ごくりっ。
思わず生唾を飲む。ため息も出た。あそこも熱くなっている。
もう俺の瞳に映る今の彼女は家族などではなく、一人の女性として映っていた。
「……ニヒヒッ」
そんないつもと違う野獣のような目をした俺を見てなのか、はたまた俺の顔に昼ごはんの残りでもついていたのか。
彼女はゆっくりと口角を上げ、チャームポイントの八重歯をのぞかせながらいたずらっぽく笑ってきた。
正直、現在の状況は告白するには完璧だ。
人気のないエリアのベンチに座り、煌びやかにライトアップされた観覧車を二人で静かに眺める。
恋愛において、これほどまでに完璧な告白シチュエーションはそうそう起きないだろう。
ロマンスの神様も「はよ告れ」と空から叫んでいるに違いない。
——だが、俺は告白することが出来ずにいた。別に俺がビビッて言い出せずにいる訳ではない。
原因は他にあった。
それこそが俺の犯した大罪。人生七転び八起きの内の三転び目だ。
「………はぁ」
俺は楽にバレないように小さくため息を吐くと、ちらりとベンチの後ろを見る。
すると俺たち二人の座るベンチから、後方二メートル後ろにある茂みに潜み、刺すような殺気を先程からずっと俺のうなじに放つ集団がいた。
奴らの名は花団高校1年B組男子一同。
敵とも友とも呼ぶべき、俺のクラスメイト達だ。
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