『忘年会』(全3話)

やましん(テンパー)

『忘年会』 上

 『これは、あくまでフィクションです。』




 あかずきんこちゃんは、成長して、金庫破りの専門家になりました。


 かかわりのあった、おおかみさんは、金庫破り専門の、警備ほあん員になりました。


 今年は、疫病が流行り、5人以上、たくさん集まっての忘年会は、自粛するよう、おはなし政府から、通達されていました。


 あかずきんこちゃんは、あたらしい銀行襲撃計画を練るために、仲間を集めましたが、精鋭ばかり3人を選び、忘年会を開いたのです。


 それは、やはり、おおかみさんと、因縁が深く、かつてまだ子供時代に、策略を廻らして、おおかみさんを捕まえて動物園に売り払ったペーテリくんと、魔法使いのおばあちゃん、つまり、森の薬剤師さんを暗殺し、食糧を強奪したらしいとの噂がある、チュルチュル、と、ミチュルチュルの兄妹です。


 いずれ劣らぬ、知能犯です。


 しかし、おはなしのくにでは、悪役も、正義のみかたも、どっちかわからない役でも、みな、平等に扱われます。


 『今回の計画は、前代未聞のものです。おはなし政府映画部から、撮影班も出されます。だから、失敗はしたくありません。』


 あかずきんこちゃんが、言いました。


 『しかし、ここんとこ、売上げがよくなくて、政府は、童話部門からは、撤退しそうだとか。』


 チュルチュルが答えました。


 『オカルトでも、異世界部門以外は、赤字らしいとかですわ。』


 ミチュルチュルが付け足しました。


 『分かっています。だからこそ、成功しなければならないのです。政府は、どっちに転んでも、もうかればよいわけです。話しは、簡単なのです。では、説明します。今回の的は、おはなし中央銀行の、地下大金庫です。』


 『おわあ〰️〰️〰️〰️!』


 みなが、叫びました。


 『難攻不落だ。』


 チュルチュルが、うめきました。


 『お菓子の家とは、レベルが違う。』


 『お〰️〰️〰️、ほほほほほほほほほ。』


 あかずきんこちゃんが、高笑いしました。


 『穴を掘ったり、壁を崩したりはしません。堂々と行きます。』


 『あの、堂々と行けるわけがないですわ。』


 ミチュルチュルが、恐ろしそうに呟きました。



        🏦


 


 


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る