第18話

「レーンさんや、エルフの谷のみんなは大丈夫かしら?」

 アリスは小屋の中で、鬱々とした気持ちになっていた。

「……ブルーノ様に相談してみようかしら?」

 アリスは思いつくと家を出て、エルバの町に向けて歩き出した。


 エルバの町に着くと宿屋に行き、宿の主人に尋ねた。

「あの、森のアリスです。ブルーノ様はいらっしゃいますか?」

「ああ、アリスさん。また来たんだね。ブルーノさんならさっき帰ってきたところだよ」

 宿の主人は、アリスに受付で待つよう伝えると、ブルーノの部屋に行った。


 しばらくして、ブルーノがやって来た。

「こんにちは、ブルーノさん。急にお呼びして申し訳ありません」

「いいえ、アリスさん。何かあったのですか? 顔色がすぐれませんが」

 アリスは申し訳なさそうに俯いた後、顔を上げてブルーノに聞いた。

「あの、ウォーウルフって強いんですか?」


 ブルーノは答えた。

「一匹なら大して強くないですけれども、群れになるとやっかいですね」

「そうですか……」

 アリスはレーン達のことを考えて、不安で涙があふれてきた。

「アリスさん!? どうしたんですか、一体!?」


 アリスは涙を拭って、ブルーノにレーンとエルフの谷の出来事を説明した。

「そうですか……。炎の実があれば、ウォーウルフの群れとも戦えるかも知れません」

「では、作ります。おばあさまのメモに、炎の実のレシピがありましたから」

「それでは、私もお供します」

 ブルーノは言った。


「では、明日の早朝に、アリスさんの家に行きますので、それまでに炎の実をできるだけ沢山作って置いて頂けますか?」

「はい、ありがとうございます、ブルーノ様」

 アリスは家に帰ると森から炎の草を摘み、炎の実を作り始めた。

「……材料もまだあるし、眠り薬とポーションも作っておきましょう」

 アリスは夜遅くまで、薬品作りに取り組んだ。


 そして、かごとカバン一杯に、作った炎の実やポーションと眠り薬を詰め、明日の準備をしてからベッドに入った。

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