世界は「好き」に満ちています! 〜怒りん坊の神様と普通のわたし〜
和田島イサキ
〈1〉
急に「私は神です」なんて言うものだから、つい「わたしも〜」と返してしまった。
違う。今のは間違いっていうか聞いてほしい。わたしが同意したのは神様であることそのものに関してじゃなく、そんなのがこんなとこにいるはずがないということについてだ。
何かの手違いで紛れ込んだもの同士。さっきの「わたしも」はそういう意味で、実際わたしなんかどこにでもいるただのお針子娘だから——。
と、その咄嗟の訂正にでも、
「わかります。私もこの世界の至る所に遍在してますから」
と真顔で頷く。だよね〜よかった〜とわたしもニコニコ笑って、そして後日「遍在」を辞書で引いて卒倒した。違う。ただのお針子娘はそんな遍在なんかしない。わたしは学校の勉強があまり好きではなかったのだけれど、でもこのときばかりはさすがに反省した。勉強は大事だ。人生で後悔が先に立つことはない以上、学べることは学べるうちに学んでおいた方がいい。
これはわたしと彼——彼でいいのかな? とにかく世界に
友情なのかな? まあ友情ってことにしておこうと思う。神様だし、それ以外の感情は畏れ多いし、なによりただの友情ひとつでさえ、こんなにも手に余るんだって初めて知った。神様の相手って大変だ。でっかい教会が必要になるのもわかる。
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