自分がやりたいことをやるために
バブみ道日丿宮組
お題:恥ずかしい小説上達法 制限時間:15分
自分がやりたいことをやるために
学校の休み時間を使って、他人の小説をそのまま書き写してみることからはじめることにしたのだが、
「……むむむ」
すごくつまらない。
漢字の練習をひたすら書くような、英単語の意味を覚えるような虚しさを感じる。
「なにやってんの?」
「日本語の練習」
情けないことを口にすることはできなかった。
小説がうまくなりたいから、他人の文章をコピーしてるとはいいたくなかった。
「小説の書き写しか。違反だよね?」
当たり前の回答が返ってきた。
「個人の範囲でなら、複製はありだよ。世の中に出さないし、いずれこのノートも捨てるし」
「捨てたノートを誰かが拾ったら、作品読めちゃうね」
なんていう想像だろうか。
ゴミ漁りがあったとしても、食べ物を得るためにするのであって、誰かの作品を盗むということはないだろう。うん、たぶんない。
「小説家になりたいんだっけ?」
「そうだよ」
あっちいけよというオーラを込めてみたが、
「たくさん読んで、たくさん書くのがいいと思うよ」
どいてくれなかった。
むしろいらないアドバイスを貰った。
「それはわかってるよ」
「あとは誰かに添削してもらえればいいと思う」
じゃぁと、彼女の顔を見る。
「わたし? あんま読書しないからなぁ。参考にならないと思うよ」
彼女はそうだと、手をたたき、
「国語の先生に見てもらおうよ」
「……嫌だよ」
きちんとした日本語を書けてるのかも怪しいのに、国語のプロのような人に見てもらうなんて……。
「第一歩は他人との共有だよ」
「……そうなの?」
「スポーツは対戦相手がいないとできないし、文化系もなにかイベントがなければ外にでない。小説も同じだよ」
そういうものなのだろうか。
「インターネットだと、そんなこと書いてなかったよ」
「ネットの情報をあてにしちゃダメだよ」
ごもっともな意見だった。
「まずはわたしが読んであげるから、持ってきてね」
それじゃ夜にと彼女は女子グループに戻ってた。その後悲鳴があがり、めっちゃ見られた。
なんで?
「……」
なんにしても、この作業を続けたとしても成長はないとノートをかばんにしまう。
残されたのは難解な日本語で書かれた長編小説。
これをスムーズに読める人はすごいと思う。
自分は読み始めると、ついつい眠気に襲われてしまう。
この現象を起こさせない表現方法を勉強すべきなのかもしれない。
それこそ彼女がいうように言葉のプロ……大人の言葉を聞くべきかもしれない。
そう思いながら、残りの休憩時間を過ごした。
自分がやりたいことをやるために バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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