第7話 土遊び
女騎士を殺して埋葬したあと、雨は1日降り続いていたのでその日は洞窟で過ごした。
レビナスたちとカトレアはわたしを挟むようにしてじっとしているけど、どこか距離を感じた。
翌日は雨も綺麗に上がって清々しい空が現れた。
異世界に来ても、やっぱり青空は嫌いだし憎い。
「レビナスたち、強いわね」
「魔王軍最高幹部だからね。それに、次期魔王の捜索をしに来てるんだから、腕前はかなりのものでしょうね」
南西へ向けて歩いているとやはり魔物たちとの遭遇もする。
連携も凄いけど、圧倒的に個々の戦闘能力が凄い。
「クロユリ様、どうやらクロユリ様の魔力がわずかに漏れ出ているようでして、魔物たちが集まってきております……」
想定はしていたのですが……とレビナスが申し訳なさそうに言った。
「ニンゲンには好かれないけど、魔物たちには好かれるのね、わたし」
前世の世界にも魔物とか居たらよかったのに。
「でもカトレア、山小屋にいた時はそんな事って無かったわよね?」
「魔力操作の時に魔力解放しちゃって、そのままだから、多分、微量に漏れ出てるのかもしれないわ。ここは魔力量自体も多い地帯だし、私たちには感知出来ないけど、魔物は匂いや魔力の流れを感じ取るとが本能的に長けてる事も多いの」
そういえばあの時も急に群がってきたわね。
「クロユリ様の魔力は微量でも魔物たちを引き付けてしまう程にそれだけ強力というわけでございます」
魔力操作はちゃんと訓練した方が良さそうね。
じゃないとこれから一生魔物たちに群がられてしまうわ。
瞬殺とはいえ、魔物たちと戯れているのは面倒。
だけどすぐに魔力操作ができる気もしない。
「カトレア、その辺の土でゴーレムって創れるかしら?」
「創れなくはないけど、大きいのは時間かかるわ。人間サイズくらいならすぐにできるわ」
「じゃあ一体お願いできる?」
そうしてわたしはカトレアにゴーレムを一体発注した。
鋼○錬金術師みたいに地面に手を当てて簡単にゴーレムを創り出してしまった。
……今度やるときは手合わせ錬成を教えてみよう。
「でもクロユリ、どうするの?」
わたしは自分の長い髪を15センチほど切り取って、まとめて結んだ。
それにわたしの血を付けてからゴーレムの胸に突っ込んだ。
そうして鼻歌を歌いながら手を当てて魔力を流し込んでみた。
魔力を抑えるのはあんまりできないけど、流し込むのはできる。
ありったけとは言わないけど、そこそこ呪いや呪詛みたいなぐちゃぐちゃの魔力をイメージしていれた。
「よし、行け。ぽち」
そうしてゴーレムは歩き出した。
「ク、クロユリ様……」
「なにかしら?」
レビナスたちが怯えていた。
「あ、あれは一体……」
「わたしの漏れ出る魔力をかき消す為に、魔力垂れ流して歩いてくれるわ。ニンゲンを探して森を歩き回ってれば勝手に魔物たちを引き付けて倒してくれるわ」
ぽちが引き付けてくれれば魔王城までの旅はもう少し楽になる。
名前のセンスはわたしには無いから、ペットの名付けの定番のぽちにしたわ。
次はタマにしようかしら。
「クロユリ……あれはやり過ぎよ」
「そんなに魔力込めてないから大丈夫よ」
「クロユリ様、ぽちというあのゴーレムは私と同等の魔力を現在垂れ流しているのですが……」
「レビナスと同等?……そんなに流し込んだつもりはなかったのだけど?」
試してみただけだし、そんなに魔力は入れてないつもりだったんだけど、レビナスの部下が震えてるところを見るとかなりやり過ぎたらしい……
「まあ、大丈夫よ。ニンゲンしか基本襲わないし、魔物は防衛として襲うだけだし。問題ないわ」
レビナスの部下の1人が「鼻歌歌いながらあんなのを気軽に……」と呟いていた。
お前たちも土人形にしてやろうか?
とか言ったら流石に可哀想かもだけど、わたしを見て怯えるのもどうかと思うわ……
「さぁ、これで楽に魔王城へ進めるわ。行きましょ」
ぽちが歩いていった方向から爆発音が響いてきたけど、気にしない。
その方がいいわ。えぇ……
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