なんでもありの元魔王は帰って来た地球でダンジョンが存在していたので自重しない
@kosiginn
プロローグ・ジ・エンド
「ぐっ…もう我は…駄目だ」
ベッドに横たわる俺は苦しそうにもがき続ける。
「ま、魔王様ぁ!」
涙する少女はこちらを見るなりギュッと手を握っていた。
余程悲しいのだろう―――
「後は任せたぞ、現魔王”リリスメア”…お前達も、こやつを守ってやるのだ」
「魔王様ぁ!!」
「「「「魔王様ぁ!」」」」
長かった…ここまでくるまで、気付けばなんかちゃんと魔王しているし。
五千年も経っている!? 冗談じゃない! 向こうは無事なんだろうな!?
「最後に…ひとりにしてはくれぬか? 皆に看取られ逝くのは少し心苦しいのだ…」
「「「「魔王様…」」」」
皆はすんなり俺の言葉を受け入れると部屋を後にした―――そして俺は―――
「ぐふ、ぐふふふ…後継者を育てた。 この世界はもう大丈夫だろう――そう! 我が居なくてもなぁ! なは、なはははは!!」
え? 病気なんじゃ? 嘘で―――す!!! お芝居でぇぇぇす!!
遂に、遂に完成したぞ!! 生涯一度きりしか使えぬとされる”異世界転生魔法”
俺はこれを使い、地球へ残したたった1人の母の事をひと時も忘れたことない―――他は忘れたけど。
母子家庭で育ち、苦労する母の姿を見て居ながら…まさかまさか、トイレのドアを開けたら気付いたら転生していたなんて事があっていいんだろうか!?
5千年だ、5千年なんとか魔王としてやって来たがやはり死ぬには”心のこり”が多き過ぎる。
ならば!! 帰るしかあるまい! 待っているのだぞ! 母上! じゃない!
母さん!!
「魔王インフィニティ―カオス! いきまーーーす!!」
全身が青く輝き始める――そう、これだ!
これで俺の今の肉体は滅んでしまうが、向こうで再び魂の再構築が出来る!
「ふは、ふははは! ふははははは!! あはははは!! じゅわっち!!!」
「やはりですか、病気とは嘘だと思っていたんですよ!!!」
「!?」
するとベットの真上の天井に、俺のよく知る白髪の魔族の男が姿を現す。
「お、お前は!? ルシファー!! 何故ここに!?」
「どうせ一人だけ地球へ帰ろうとしてるのでしょう!? 私を置いていくとは! いけませんよ! 私も行きます! 貴方様の右腕であり、この命は”全て貴方様”のものです! というわけで、おじゃましまぁぁす!!」
等と言うと、俺の身体にギュッと熱い抱擁を交わしてした”馬鹿”。
「あぁぁぁ!! おまえ!! これ一人用なんだぞ!」
「大丈夫です…魔王様。 為せば成る…というではありません」
「くそがぁぁぁぁぁぁ!!」
俺達二人は粒子となって消えた。
――――――――――――――――――――――
あの時を思いだす…確か俺は母のいない時間にトイレに入ろうとした時だ。
扉を開け、目の前には見知らぬ魔族共が俺の姿を見るなりキラキラと目を輝かせていた。
あれから5千年―――遂に俺は完成させたのだ!
ふふふ、ふふふ! フハハー――
「なんで、仏壇!?」
最早懐かしい肌色の肌と少し重たい身体、いや…今はそんな事どうでもいい。
てっきり俺は行方不明だとかそんな類のものだと思っていたんだが――
「魔眼発動! 鑑定!」
うむ、どうやら魔力にもこの身体は順応しているらしい。
この力が健在ならば母の手助けが出来るに違いない!
――斎藤
「モノホンじゃん…」
どうやら俺はこの世界でお亡くなりなっているらしい。
あのクソ女神め! やはり俺の肉体が滅んでいるではないか!
念の為と思い、身体を再構築したことは間違いなかったか…
「まぁ、結果的に成功したから――よしとするか」
隣で倒れる白髪イケメンに目をやる。
まさか、ぶっつけ本番で”こいつ”も人間転生を成功させているとは…恐ろしい程の魔法センスだ。
「しかしどうするか…母が帰って来てなんと言い訳をすればいのか。 嘘だった~! とか言うべきか? いや、ここは正直に…」
これも全てあの”クソ女神”のせいだ。
ならば、直接聞いた方が早そうだ―――
目の前の何もない空間に黒い穴を開け、ある人物の頭部を鷲掴みにする。
ググググ!!
『いだだだだ!! なにっ!? なに!?』
徐々に姿を現す、まるで聖母の様な見た目をした綺麗な女性。
だが、騙されてはいけない――こいつは俺を巻き込んだ全ての元凶であり!!
「よぉ…クソ女神?」
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