劇場版で好きな作品

 ポケモンの劇場版は大人でも泣いてしまうような感動的なシナリオが有名ですよね。今回は、私が好きな作品について語ろうかなと思います。

 殆ど初代とAGの作品になると思います。DP世代ですが、アニメはそちらの方が好みなので。



「ミュウツーの逆襲」1998年公開


 言うまでもないアニポケ劇場版の原点であり、名作です。近年リメイクされましたが、私はやはりこの初代の絵柄で描かれたミュウツーの逆襲が好きです。何と言いますか、アニメの色合いというのでしょうか。あの昔のアニメの画風と作品の雰囲気がとてもマッチしていると思うんです。

 劇場版に共通していることとは思いますが、扱うテーマが子供向けアニメとは思えない程に重いんですよね。特に、このミュウツーの逆襲は、中でもトップクラスのシナリオの重さを誇っていると思います。私は子供の頃から、この重苦しい雰囲気と、難しいテーマを扱ったアニポケ劇場版が大好きですが、この作品については怖いと感じる子供もいたのではないかなと思います。

 そして、中盤から終盤にかけて描かれる本物とコピーによる悲惨な戦いは、見ていて心が抉られますね。戦いのシーンでジョーイさんが、とある深い台詞を言うのですが、この台詞がまた辛い。映像表現と音楽も、悲痛さに染まっていて、本当に大人になってから見返すと涙が止まりません。子供の頃も、この戦いのシーンでいつも泣けました。

 また、この作品の続編である「ミュウツー! 我ハココニ在リ」も同じくらい苦しい作品でしたが、ここまで見てようやくミュウツーの歩みの果てを見届けたと思えました。「ミュウツーの逆襲は見たけど、続編は見たことがない」という方は是非とも続編までチェックして頂きたいですね。



「幻のポケモン ルギア爆誕」1999年公開


 前作のミュウツーと比較すれば明るめな作品だとは思いますが、結局こちらも重いんですよね。地球環境の均衡を司る特別なファイヤー、サンダー、フリーザーが、人間の手でパワーバランスを崩されたことから、怒りに狂って暴走を始めてしまい、この影響で世界が滅びの危機に瀕します。そして、この危機を救うために、普段は深海で暮らしているルギアが、人々とポケモン達の前に姿を現すという壮大なストーリーです。

 特別なファイヤー達と海の神ルギアに捧げる曲というものがあるのですが、このメロディーが昔から大好きなんです。この作品を見たことから、一時期オカリナ演奏にハマったくらいです。

 あと、この作品ではロケット団の活躍が最高なんですよね。普段はサトシのピカチュウを執拗に狙ってくるものの、世界の危機とあっては敵味方関係なしと、サトシに力を貸してくれます。この流れが本当に胸熱ですよ。

 そして、最終盤のサトシのママの台詞。本当に、その通りだと。この作品の全ては、この台詞に帰結すると言っても過言ではありません。



「水の都の護神 ラティアスとラティオス」2002年公開


 劇場版作品は数あれど、その中でも人気の高い作品として有名ですね。作品の舞台であるアルトマーレの描写がとても繊細かつ丁寧で、もちろんバトルシーンもありますが、まずは美しい街並みに見惚れてしまうでしょう。また、音楽も同じく美しいもので、アルトマーレという舞台を彩る要素として重要な役割を果たしています。目と耳で美しさを堪能できる作品です。

 ラティアスの愛らしさもさることながら、私はラティオスの妹愛の強さが本当に好きです。身を挺して妹を守り抜き、躊躇う妹を叱り飛ばすシーンには涙が出ました。彼らには、伝説や幻のポケモンに備わっていることの多いテレパシー能力がありません。しかし、あの夜のシーンは、鳴き声だけでも彼らがどのようなやり取りをしていたのか、よくわかるものでした。出演陣の演技が素晴らしかったですね。

 演技といえば、特別出演枠であるザンナーとリオン役のお二人の演技がとても上手かったと思います。声優さんではないはずですが、二人の台詞には声の演技に慣れていない方独特の違和感がありませんでした。敵役である二人ですが、私はかなり愛着があります。



「ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィ」2006年公開


 ハルカが生まれたばかりのマナフィの母親代わりとなり、ポケモンレンジャーや水の民の末裔と共に、マナフィを生息地である海の神殿アクーシャへと送り届ける物語。マナフィがメインとなっていることもあり、数多くの水ポケモンが登場します。海の神殿というだけあって、目的地は海中にあります。そのため、船を使って向かうのですが、海で生き生きと暮らしている水ポケモン達の描写がとても美しく、気に入っています。

 ハルカとマナフィが母子の絆を築いていく中で、時間が経てば経つ程に、別れも近づいてくるという胸が締め付けられる流れが好きですね。ハルカもそのことに気付いてからは、懸命にマナフィとの距離がこれ以上近付かないようにと自分を戒めますが、二人の絆は別れの辛さを超える強いものであるということがストーリーの展開から伝わってきます。最初は泣いてばかりの赤ちゃんだったマナフィも、終盤では一人前になっていて、ちゃんと成長が感じられます。最後の別れのシーンは本当に泣けます。



「ディアルガVSパルキアVSダークライ」2007年公開


 本来決して出会うはずのないディアルガとパルキアが時空の狭間で衝突する中、サトシ達はヒカリのコンテスト出場のために訪れたアラモスタウンで、人々やポケモンに悪夢を見せるダークライの噂を耳にします。

 やはり、タイトルの通り、バトルシーンが非常に魅力的な作品です。大型の伝説のポケモンがぶつかり合う戦いは、とても迫力があると同時に、それに影響されて崩壊していく街や恐慌状態に陥る人々の描写が非常にリアルでした。

 この作品は三部作の第一作目となっていて、この後に続いていく「ギラティナと氷空の花束 シェイミ」、「アルセウス 超克の時空へ」まで見て、ようやく物語が完結します。この作品は言わば序章のような立ち位置に当たるのですが、壮絶でダイナミックなバトルを前面に押し出したシナリオは、映画館に足を運んだ当時子供だった私の心を鷲掴みにしました。初代とAGが好みであるものの、この三部作は、どれも本当に好きです。正直、三部作のうち、どれについて語ろうか悩んだのですが、やっぱりこの記念すべきポケモン映画10作目がいいなと思って、ここに綴っています。今回は語っていませんが、シェイミも、アルセウスも、今見返せば必ず泣きます。

 また、この作品は音楽が本当に美しい。音楽は作中で重要な要素となっているため、とても気合が入っています。アラモスタウンで暮らす女性アリスの吹く草笛や、時空の塔の奏でる音色がとても綺麗です。そして、主題歌が英語なのですが、サビの部分で毎回泣いています。あのメロディーを耳にすると、ディアルガとパルキアが怒り狂ってぶつかり合う光景が思い出されて、勝手に涙が出ますね。



「踊るポケモン秘密基地」2003年公開(「七夜の願い星 ジラーチ」同時上映作品)


 劇場版で偶にある、ポケモン達がメインの同時上映作品。私は、この作品が大好き過ぎて、申し訳ないことに他の作品が今でも目に入りません。本当に、この作品は腹を抱えて笑えます。今も昔も見るたびに爆笑です。

 この作品を一言で言えば、ぶっ飛んでいます。他にも同時上映作品はいくつかありますが、ここまでぶっ飛んだシナリオは、前にも後にもありません。この作品の主題歌は、AGのエンディングにも起用されていますが、あのメロディーは本当に癖になるし、ポケモン達が踊りまくる姿が超絶可愛いです。クールなキモリですら、踊りまくりですからね。

 これほどにパンチの強い短編、もう出てこないんじゃないかと思っています。



 正直、ここで挙げなかった作品にも好きなところや思い出のシーンは沢山あります。すごく細かいところにも、愛着を持ってしまうのがポケモンの劇場版ではないかと。少し挙げてみれば、「結晶塔の帝王 ENTEI」のオープニングにおけるバトルがすごく好きです。公園の遊具を上手く利用してバトルするポケモンの描写が本当にリアルで良いと思うんですよ。


 終始好き勝手語りましたが、劇場版の良さが感じて頂けたら、あるいは思い出して頂けたら、嬉しいと思います。

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