飛ぶ鳥の墜落劇

​「​───────よぉし、アレが蒼龍ちゃんの乗ってる飛行機ね」


空港の屋上にて、肩に巨大なケースバッグを掛けた玄司郎がいた。

彼の視線の先には、空を翔る機械仕掛けの鳥があった。

その腹の中には蒼龍が搭乗している、という情報を聞き玄司郎が企てたのだった。

肩からそのバッグを下ろし、中を開ける。

そこには、とても現代の日本では入手できないと思われる代物があったのだった。

RPG―7。旧式化となりつつも未だ現役のロケットランチャーであった。


「……アナタは危険すぎるわ、蒼龍チャン。

若い頃の玄人と実力がほぼほぼ一緒だもの。

あの時は分からん殺しが成立仕掛けたってだけの、アタシの有利試合だったわけだしね」


担いで照準を目に当て、指を引き金に添えた。


「生きてたら間違いなく、あの子ならうちの戦力を半壊させれる」


あと僅かの作戦時間。

その未来への憂いを抱き、そして確実に仕留めると固く決意をして玄司郎は引き金を引いた。

弾頭は空を走り、煙の線を描く。

ラインマーカーのように真綿のような白色を引き、その緑の爆破物は見事に。

飛行機へと命中し、大破した。

爆煙に包まれ、それは墜落する。

さっきまでの白煙は上書きされて、黒煙へと包まれる。


「ようし、これで作戦完了ね」


ロケットランチャーを投げ捨てて、玄司郎はすぐに撤退する。

そして胸ポケットから無線を取り出した。


「もしもしボッスゥ?

目標、ぶっ殺しといたわよォ」


颯爽と玄司郎がその場を後にするのだった。

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