花結び

簪ぴあの

第1話 

午後四時。バスを降りて、橋を渡ると見えてくる。古い、時代劇に出てきそうな大きな家。

今時珍しいですねって言いたくなるような木製の門。昼間は門が開いていてそこに格子戸にはめ込んである。

のぞきこむと、今日もいる。庭で草引きをしているおばさん。

気配を感じたのか、私の方を見て笑う。

「お帰り。今日はどうだった?」

「どうってことないよ。相変わらず、学校ってつまんない。」

「今日は和菓子だけど食べる?」

「うん。」

いまや、勝手知ったるよその家。いいのか?と思いつつもおばさんと一緒にお茶を飲むのが、私の日課。

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