異世界短編集~ここ以外のどこか~

灰被り姫

女神のお仕事~転生の説明会~

私の名前はフレイヤ


君の住む世界、地球を含む1000の世界を管理している転生の女神です。

私の仕事は、今の世界で不運な事故や病気で命を落とした15歳以下の若い子から選んだ少数の子を、別の世界に転生させてるの。

転生ってわかるよね?第二の人生を謳歌出来るの。

でも、元の世界とは別の異世界だから、最初は混乱すると思うけど、それは頑張って!としか言えないの。


それとね、君の住む世界の住人は、特に異世界への転生者が多いの。

何でかわかるかな?

それはね、異世界に転生する時、元の世界で弱い子ほど特殊な力に目覚めるから人気なんだよ。

君たちの世界から異世界に行ったこの半数以上は、異世界では英雄として活躍しているの。

だって、君たちの世界って、他の世界では当たり前の魔法が使えないから、ホントに弱い種族なんだよね。

君たちの世界にも魔法を使える可能性はあるのに、少し不思議な事が起きても「科学的に~」とか言って、魔法の可能性を信じないから、いつまで経っても魔法が認知されなくて、誰も使えないんだ。

だから、君たちの世界の住人は、他の世界の住人に比べ、個人としては物凄く弱いんだ。

その変わり、異世界に行けばきっと特殊な力に目覚めて、君も英雄になれるよ。


これから君に話すのは、私が転生させたこの中でも、特に印象に残っている子たちのお話だよ。

君が転生した時の参考にしてみてね。



先ずは、定番の英雄職、勇者になった男の子のお話ね。

彼の名前は、緋彩英雄(ひいろ ひでお)13歳

秘彩(ひいろ)でヒーロー、英雄(ひでお)で英雄(えいゆう)なんて、勇者にピッタリの名前よね。

先ずは君にも言える事なんだけど、転生で一番大変なのは生まれるところからやり直しになっちゃうんだ。

だから、彼も新たに生まれるところからなんだけど、彼は子沢山の親の元に生まれたの。

転生だから0歳でも意識はしっかりしてるんだけどさ、ほら0歳の子供がいても気にしないで営んじゃう夫婦って多いんだよね。

だから、彼は毎晩毎晩両親の営みを見続ける事になっちゃったんだよね。

しかも、彼のママが物凄く美人さんで、0歳ながら毎晩毎晩興奮して、0歳ながらに毎日寝不足になっちゃったんだよ。

でもね、当然0歳だからおっぱいも飲むわけで、そこは役得だよね。

君たちの世界で言うトップアイドルなんか比にならないぐらいの美人ママのおっぱい吸い放題。

どお?これってお得じゃない?

あっ、でも生まれてくる両親は私じゃ選べないから、君のママが美人かはわからないんだ。

でね、そんな事は良いんだけれど、彼の世界では10歳になると天界からギフトが降りてきて、個人固有のジョブが割り振られるの。

で、彼に割り振られたジョブが勇者だったの。

勇者は100年に一人の割合でしか生まれないから、彼のジョブがわかった時には両親は喜んで、また貴族王族と彼にコネクションを持とうと、毎日訪れるようになったの。

それでの、ちょうどそのころ魔族の動きが活発になってて、彼は王都に行くことにして勇者として力を付ける事にしたんだ。

彼は凄く真面目で、訓練にも耐えてどんどん力を付けて、15歳になった頃にはジョブが神聖勇者になってたの。

神聖勇者ってすごいのよ。

だって勇者は100年に一人ぐらいだけど、神聖勇者になれるのはその中でも1%なの。

だから、多くても1万年に一人ぐらいの割合でしか生まれないの。

私が女神になって10万年で、まだ7人しか神聖勇者になれてないから、彼は本当に努力家だよね。

それでね、彼が16歳になった時に魔王が誕生したの。

魔王誕生で世界は恐怖に包まれたけど、魔王が誕生してすぐに彼が魔王討伐に乗り出したの。

彼は神聖勇者になって、当然ただの勇者なんかより全然強くなってて、短期間で魔王のところまで到達することが出来たの。

でもさ、当然魔王もすっごく強いの。

いつもなら、勇者パーティーとして、勇者以外にも強い子を集めて魔王と対峙するんだけどさ、彼は他に犠牲者を出したくないからって、全部一人でやろうとしてたの。

実際、神聖勇者になった彼と魔王の力は互角だったの。

彼と魔王の一騎打ちは1週間におよんで、それこそ彼らが争った土地は永久に人が住めない程荒れてしまう程、甚大な影響があったの。

それでも最後には、彼の全てを守るって想いが力になって、魔王に打ち勝ったんだ。

その戦いの後には、彼も満身創痍で、それまでの力を発揮することは出来なくなっちゃったけど、単騎で世界を救った英雄として、今でも彼の転生した世界では伝説として語り継がれているんだよ。


どうだった?

すごいよね。

彼みたいに、単騎で魔王に挑んだのは10万年女神をやってる私でも、彼しか見たことないの。

まあ、私はまだまだ新人女神なんだけどね。

古い女神とかだと10億年以上女神をやってるおばさんとかいるからさ。

あっ、おばさんって言ったのはオフレコでお願いね、怒られちゃうからさ。



さてさて、じゃ次は魔女として生まれた女の子のお話をしようかしらね。

彼女の名前は黒猫(こくびょう)キキ11歳

黒猫にキキなんて、まるで君の世界のジ〇リに出てきそうな名前の子よね。

彼女は魔女の谷で魔女の両親から生まれた、純粋な魔女なの。

あっ、魔女っていうけど、男の人の事も魔女って言うんだよ。

でもさ、彼女の両親は共に黒魔術や悪魔契約、呪術や魔神かとか、あんまり良い魔女では無かったんだよね。

彼女はそんな両親の事は好きになれなくって、10歳の頃に魔女の谷を飛び出して、山で一人暮らしをするようになったの。

魔女の谷には、他にもありとあらゆる魔法の書があったから、読み書き出来るようになったら全部読み漁って、10歳の頃にはほとんど覚えちゃって、それで魔女の谷を飛び出したの。

その魔法のおかげで10歳でも問題無く一人暮らしは出来てたんだけど、余りにも暇だから覚えた知識に新たに創った術式を組み合わせて、どんどん新しい魔法道具を生み出したの。

でも、森に住んでるだけだから、新しい魔法道具を作っても、そんなに使う事もなかったの。

それで、何となく森を下りて人里に行って魔法道具を売って回ったの。

彼女が作った魔法道具は誰にも理解出来ない術式で、物凄く高度で他に作れる人なんていなかったの。

彼女も自分の作った魔法道具がどれだけ凄いかなんて知らなくって、しかも簡単に創っちゃってたもんだから、結構な安値でたたき売りしてたの。

それで、平民達でも簡単に変えちゃったから、その人里では一気に彼女の魔法道具が流行していったの。

そこでさ、たまたま来ていた王国の聖騎士長さんがその魔法道具を見て気づいちゃったんだよね、その魔法道具の凄さにさ。

彼女の世界では魔法道具にはクラスがあって

創世級(ジェネシス)

神話級(レジェンド)

伝説級(レジェンド)

幻想級(ファンタスティック)

遺産級(レリック)

究極級(アルティメット)

上級(アドゥバンスト)

普通級(コモン)

って、結構細かく分けられているの。

でさ、一般的に人間が生み出せる魔法道具の限界が究極級(アルティメット)って言われてて、究極級(アルティメット)の魔法道具を1個売れば一生遊んで暮らせるぐらいのお金を手に入れる事が出来るらしいの。

彼女の作る魔法道具は失敗作が遺産級(レリック)で、平均すると伝説級(レジェンド)が多くって、たまに神話級(レジェンド)が作れたみたいなの。

ハッキリ言って、普通の人には見ても意味が分からないんだよね、凄すぎて。

でもさ、聖騎士長さんは多くの魔法道具を見てきて、国宝とされている幻想級(ファンタスティック)も見たことがあったの。

でもそこで見た魔法道具は、国宝とされている幻想級(ファンタスティック)なんかより、はるかに強力な魔法道具ばかりだったの。

なんせ、ほとんどが伝説級(レジェンド)だったからね。

でも彼女は、武器生成とかはほとんどしなくって、転移の魔法道具や亜空間収納の魔法道具とか、生活に役立つものばかりだったんだよね。

でも究極級(アルティメット)の転移魔法道具であれば、せいぜい目視出来る範囲が限界の移動距離に対して、彼女の作った魔法道具は距離無制限なの。

亜空間収納も究極級(アルティメット)でだいたい5メートル四方の立方体ぐらいの収納スペースなんだけど、彼女のはそれも無制限、どれだけでも入っちゃうの。

はっきり言って、規格外過ぎたのよね。

だから、聖騎士長さんはすぐに彼女に、王国専属の魔法道具師になってもらうように交渉したんだけど、彼女は一言「めんどくさいからイヤ」って断っちゃったの。

聖騎士長さんがどれだけ話をしても、彼女は決して首を縦に振らなくて、結局諦めるしかなくなったの。

それで彼女は、その後も森の近くの人里に魔法道具を売って生活していたんだけど、ある日王国がその人里を襲ってきたの。

まあ、彼女を欲した王国の国王が強硬手段として人里を襲って魔女をおびき出し連れてこいって事らしかったの。

そんな王国に怒った彼女は、暇なときに作ったたった一つの武器、あらゆる魔法を使う事が出来る神話級(レジェンド)の杖、グングニルを持って人里を襲っている王国の兵士を一層した。

グングニルを使って放つ魔法は、魔法使い1000人規模で儀式を行う大魔法と同等で、それを簡単に連発出来ちゃうの。

もおさ、反則だよね。

で、怒ったついでに王国に乗り込んで、一瞬にして王宮を最初から何も無かったかのようにキレイに消し去っちゃったの。

その後、王国からは恐怖の大魔女として恐れられたんだけどさ、森の近くの人里では里を救った魔女をたたえて、銅像なんて建てちゃってたの。

最初は恥ずかしがってた彼女だけど、魔女って寿命がながっくってさ、だいたい1000年は生きれるの。

しかも、彼女は自分の作った魔法道具を使って健康を維持して、だいたい2000年ぐらい生きてたの。

その間、様々な里の人とふれ合い優しくされて、長い時間を里の守り人として生きてたの。

それで、いつの間にか魔女なのに大賢者様なんて呼ばれるようになって、ずっと楽しく過ごしてたんだって。


どうかな?

世界を救う英雄とかではないけどさ、彼女みたいに人の為に生きるのも素敵よね。



次で最後にしようかしらね。

最後は世界を一つに纏め上げた王様になった男の子のお話にしようかしらね。

彼の名前は日本尊(やまとたける)15歳

日本尊なんて、まるで日本武尊(ヤマトタケルノミコト)みたいな名前だよね。

名前によって、活躍できるかが決まるのかな?

君の名前は…それは後で良いね。

それで、彼なんだけど、簡単に言えば戦争が絶え間ない世界の小国の王太子として生まれたの。

世界には3つの大国があって、その下にそれぞれ4つの国が属していて、彼の国はさらにその下に属する国だったの。

はっきり言って、ほとんど権力も無い、小さな小さな国の王太子だったのよ。

15歳までは、特に何も無く王太子として成長していったんだけど、その年に彼の父である国王が病に伏して彼に国王の座を引き渡したんだよね。

大国からしたら、小国の王位譲渡なんて眼中にないから、これも別段何かがあった訳じゃないんだ。

でも、彼が国王になってからの彼の国の成長が凄かったんだよね。

民衆を第一に考える政策で、民衆からの支持率は常に90%以上。

それと、彼は国王と言う立場ながら、大国も含めてどの聖騎士よりも強かったの。

だから、今までは王太子といった立場の為、ある程度自由が無い立場にいたが、自身が国王になったことで上からの圧力が無くなったことで、彼が直接聖騎士の指導にあたったの。

そしたらなんと、小国の軍ながら大国に匹敵する力を持っちゃったの。

彼の指導力が良くて、彼の国の聖騎士は一人で大国の聖騎士10人を相手に出来るぐらいになっちゃったの。

ちなみに彼は一騎当千と呼ばれるにふさわしく、大国の聖騎士1000人を一人で相手どれちゃったのよ。

それだけでも、大国としては脅威なのに、彼の政治的手腕で民衆の生活向上もあり、他国から彼の国に移住する人が急増したのよ。

移住者が増えた事で土地を拡大し、さらには周りの小国も彼の国に属することを決めて領土が増えたのよ。

そして彼が国王になって5年の、彼が20歳になった頃には3だった大国から変わり、彼の国を含めた4つの国を大国と呼ぶようになったの。

その5年間も戦争は絶えなくって、いつもどこかで戦争は起きてたの。

でも、彼の国は戦争に乗り出す事は無く、基本的に守りを固める事にしていたの。

でもさ、彼の国の聖騎士は他国の聖騎士に比べて圧倒的に強い事もあり、彼の国の聖騎士が守護する彼の国では、ほとんど民衆の被害は無かったの。

他国では侵略を基本としていて、自国の守りより他国を攻める事に重点を置いてるから、民衆の被害も大きくなってたんだよね。

彼の国では、年間で数人の被害だったんだけど、他の3つの大国では年間に数千人規模で被害があったみたいなの。

それで、他の大国の民衆も彼の国の噂を聞いて、彼の国が大国と呼ばれるようになった頃からは、他の大国からの移住者も急増したのよ。

それに聖騎士も彼の国に行くと今よりも強くなれると思ったみたいで、聖騎士も彼の国に移住しちゃったの。

それでさ、大国間の戦力バランスが崩れて、まずは彼の国に隣接する大国が別の大国に攻め落とされちゃったの。

その国を攻め落とした国は彼の国に隣接することになって、また噂の広がりも植えて移住者が増えるの繰り返し。

その結果、全ての大国が力を失って、彼の国に属する事になっちゃったの。

そうして、彼が全ての国の頂点に君臨して、でも驕る事も無く今まで通り民衆を第一に考えてさ、その後は戦争なんてない、平和な世界になったのよ。

それで、彼は世界を一つに纏め上げた偉大な王として、一部からは神と崇められるようになったらしいの。


どうだった?

驕る事なくいつまでも変わらないのって、誰にでも出来る事じゃないし、本当に凄いわよね。



さて、色々な転生者の話をしてきたけど、次は君の番だね。

心の準備は出来たかな、織田信永(おだのぶなが)君。

じゃあ、まずは君の行く世界を決める方、目の前にある箱から一つ玉を取ってくれるかな?

そのたまに書いてある数字で、君の行く世界が決まるからさ。


玉も引いたみたいだし、何番なのかな?

えっと、「666」か…。

うん、頑張ってね。

君ならきっと大丈夫だよ。

ちなみに、君の行く世界の情報とジョブだけど、一応ここで教える事も出来るけどどうする?

聞くのは止めておくのね、わかったわよ。

じゃあ、君の第二の人生が幸せでありますように。

さあ、行ってらっしゃい。

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