訳が分からない
エリー.ファー
訳が分からない
目が眩むほどプライドが高い。
私はプライドの高い人間である。
ここから降りたりはしない。
何故か。
見下したいからか。
違う。
人を見下すなと両親に怒られて生きて来たので、これは生まれ持っての性である。
私は。私の持っているものの中で、このプライドというやつが一番好きだった。
手に馴染むのだ。
捨てられないもの、捨ててはいけないもの。
という感覚は一切ない。
手に馴染んでいるから。愛着があるから。
本当にそれだけである。
子どもの頃によく持っていた毛布に近いところがあると思う。触り心地というか、香りというか、ほつれ具合というか、厚みというか、そのすべてが私の体の一部なのだ。
そう。
プライドは冷たくて、鋭い氷柱ではない。
そういう人もいるかもしれないが、私は違う。
私にとってのプライドは毛布なのだ。温かくて気持ち良いものだ。
よく注意されたものだ。
偉そうにしているとか、貴族であるとか、批評ばかりしているとか。
でも。
私は私として振舞っていただけであるし、その生き方が私の体には完璧だった。
蕁麻疹も、発熱も、頭痛もない。
私はよく知っていたのだ。
私の人生において一番顔色を窺わなければいけない相手は、他でもない自分であることを。
正直、私の周りの人間は、皆私よりも鈍感だった。怒らなかったし、悲しまなかったし、喚かなかったし、笑わなかったし。
何より、自分を楽しんでいなかった。
私は私のことが本当に好きである。
それが周りにいる自己肯定感の低い人にとっては非常に癪に障ることもあっただろう。私は気付かなかったし、今もよく分かっていない。そういう人たちがいて、そういう人たちの文章を読んだりするから、生息していることを確認できたというだけである。
あれは、嘘なのではないか。
そんなことを思ったりもする。
おそらく、嘘ではなくて本当なのだろうが、私は私の人生しか深く理解できないため、私以外の人のことはよく分からない。
理解し合えているという感覚を持ったことも、ない。
特別な感情として。理解するということを諦めているわけではない。
私は私のことでさえ、そう扱っているので私以外の人にもその評価基準をあてはめているだけである。
でも。
私は私を一番に据えている。
だから、私のことを幸せにしてやりたいなあ、と日々考えている。
この自己肯定感が、プライドの高さに紐づいていることをなんとなく最近、気が付いた。
人によるという所ではあると思う。
私はそうだった、ということだ。
私は私の判断をかなり信頼しているので自信を持って発言したり、行動をしたりする。
たぶん。
もう、それがプライドが高いという評価を与えられる切っ掛け、いや、主となる要因になっているのだと考えられる。
ある時期。私はそれを気にして私を制限するようにした。
結果。
誰かに貴族と呼ばれた。
なるほど。
隠せていないですよ。
上手くやっているつもりだと思うのですが、溢れていますよ。
そんなことを遠回しに教えてもらえた。
そういう意味で、私はかなり人に恵まれた人生を歩んでいると思われる。親切な人、優しい人、面倒をみてくれる人ばかりで本当に頭が下がる。
本当に有難う御座います。
心から、有難う御座います。
たぶん。
プライドの高い人種なのですが。
これからもよろしくお願いいたします。
プライドが高くなかったら、もっと早く小説家になれただろうか。
いや。
プライドが高くなかったら、そもそも小説なんて書かなかったな。
訳が分からない エリー.ファー @eri-far-
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます