第三章 サプライズおじさん?

第73話

 本日はダンジョンにて女子高生探索者の3人とアヤメそして私の計5人で採取ポイントを回りダンジョンの資源を確保を行って行こうと思う。


 ハルカは欠席だ。

 近頃ハルカは少し用事があると言って新居やダンジョンの拠点でパソコンを使い何やら調べ物をすることが度々だ。

 今日はどこかに行っていて居場所は教えてもらってない、ハルカの事なので心配はしていないが。


 それと本来女子校生探索者たちの引率をしてくれている高見さんも用事で来られないので彼女たちのことを頼みますと言われてしまった。


 これはきっと日頃から多少なりとも接点を持ってきた信頼をされたことの表れだと私は思っている。


「「「……………………」」」


「ふふ~~~ん」


 彼女たちの無言の視線が突き刺さる。

 あれっなんか全然信用されてない気配を感じるぞ、何故だろう。

 アヤメは鼻唄とか歌ってる…何故か警戒されてしまってる私だ、


 まあそんなことはどうでもいいか。

  元から高校生でありながらダンジョン探索者としてダンジョンに何度も行った経験があるという彼女たちだ。


 いくら部活とはいえずっと先生がいつも一緒にダンジョンに潜っているとは思えないし、元より自分たちの判断でダンジョンに行くことくらいは許されてるのだろう。


 そこらへんの責任問題、例えば万が一ダンジョンで大怪我とかしたら生徒本人なのか先生なのか学校なのか親なのか、一体誰が責任を取ったりするだろうかとかね……。


 分からない部分があるにはあるが無論そこら辺について詳しく調べるつもりはない。


 どうせふわっとしてるのだろうさ。

 あるいは誰も何も考えていないのかもしれない、だから私も気にしないのだ。

 何故かお約束っと言う言葉が私の頭の中に浮かんだ。何故かな?


「さてっそれじゃあ今日も採取ポイントで換金出来る物を採取していこうと思います」


「「「…………………」」」


 しかし3人とも再び無言でこちらを静かに見てくる。

 本当に一体どうしたんだ?

 私にはまるで彼女たちの態度の原因に心当たりなどない。


 ないったらないのである。

 するとさゆりが答えを静かに答えてくれた。


「どこかで…また変なサプライズを仕掛けてくるんじゃないかと思って警戒してるんですよ私たちは…」


 その言葉を聞いて私はちょっと思い出した。

 以前私は彼女たちに温泉という餌をチラつかせて温泉火山に連れて行ったことがある。


 そこで私はちょっとしたサプライズを仕掛けたのだ。

 本当の姿はドラゴンだと言う赤髪赤目の美女、ラグネシアにちょっとお願いして。


 彼女たちが温泉に入ってはしゃいでいる時に私たちにした時のようないきなり現れるサプライズ登場をね。


 もちろん私は男なので温泉には入れない、実際にそのサプライズを受けてどうなったのか見てはいないのだがとある情報提供者がいたので色々と教えて貰ったのさ(アヤメにね)。


 彼女の話によるとラグナシア登場の瞬間、彼女たち3人と高見さんの計4人は共に温泉に入ったハルカとアヤメと普通に温泉を楽しんでいた。


 やはり女子たちだけと言う事もありテンションも高くなっていたらしい。

 そこにラグネシアが登場し、その場はそれはもうパニックになったそうだ。


 何しろ武器も装備も何もないからね、まっ武器はともかく装備なんてそんなんしてたっけ?

 みたいな物しか彼女たちはしなかったとは思うけど。


 とにもかくにも目の前に現れた存在が見た目は人間だが人間じゃないことくらい現役で探索者をしてる彼女たちにはすぐに分かったそうだ。


 その結果どうなったかというと例えばアズサはそのプレッシャーに当てられて速攻で気絶。

 危うく温泉で溺れかけたらしい。


 響は温泉から飛び出して臨戦態勢を取ろうとしたら滑って腰を抜かして失禁……コホン、腰を抜かしただけという話だ。


 さゆりに至っては何故か本気の死んだふりをしていたらしい、白目をむいてね。

 それを見てたアヤメが爆笑していたとかなんとか…。


 高見さんだけがハルカとアヤメが普通にしていた事に気付いていたらしいので念のため警戒をしてたくらいの大人の対応を取ったらしいのだが…。


 この3人は三者三様の実に面白い反応をしてくれたとアヤメがとてもいい笑顔で話してくれたのだ。


 その話を聞いて私は肩を震わせて、はっきり言って爆笑していた。

 その場面をこの当人たちに見られてしまったのである。


「……………」

「そんな~~皆のワタシたちへの信頼はそんな物なの~~? ねぇっヒロキ君~?」


「「「………………」」」


 なるほどそれが理由か。

 話を思い出すとこのメンツだし、また何やら企んでいると思われても仕方ない布陣を整えていた私だ。


 つまり彼女たちの鋭い視線は再び邪悪なサプライズを仕掛けるサプライズおじさんに私がならないかと疑い、その視線を送ってきてる訳だ。


 納得である。

 彼女たちはまだまだこの成長したダンジョンについて知らないことが多く、逆に私は結構このダンジョンについて詳しいと思われてる立場にあるしな。


 それはまあアラサーおじさんの手の平の上で転がされるなんて若き女子高生である彼女たちにとって面白い話ではないだろう。

 それはもうプライド刺激されまくりな案件だ。


「流石にあんなサプライズを仕掛けるようなネタもうないよ」


「…………本当ですか?」


「本当本当…」


「………分かりました」


 そういうアズサの視線は欠片もアラサーを信じていない。

 他の二人も同様である。

 まっ気にしても仕方がないので早速お仕事タイムに入るとするか。

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