第25話
「ハァアアアーーーーーッ!」
我がダンジョンでの初戦闘開始だ。
工藤さんが気合いのこもった叫びをあげるとスマッシュの時のピンポン球の如き勢いでスケルトンの群れに走って行った。
スケルトン達も武器を装備している、それらを振るい工藤さんに攻撃してくる。
工藤さんの剣一本では普通なら勝ち目はなさそうに思えただが…。
「……『
工藤さんがスキルを発動させた、次の瞬間に何本もの青色の太い杭のようなものがスケルトンたちの周囲に出現し、ヤツらは刺され倒れる。
なんだあれはと思ってるとまた同じスキルを発動しスケルトンたちを瞬殺していく。
武器を構えたスケルトン数体が貫かれて倒された。
その時は遠目から見ていることもありわかった。
どうやら彼女を攻撃スキルは水を使って行うものらしい、スケルトンたちがいるのは浅くても海、そこにある水が飛沫を上げて弾けると同時にその弾けた水が太めの杭のような形に変形したのだ。
そしてそれがスケルトンたちにいくつもブスブスとぶっ刺さったのだ。
「……凄いスキルだ」
「あのスキルはおそらく水があることで初めて使える条件付きの攻撃スキルよ。発動に制限や条件があるスキルはそれさえクリアすればかなり強力なものが多いわ」
ハルカは私に話しかけてくる。
工藤さんは戦闘に集中しているので問題ないと判断したんだろう。
「それによく見てみなさい、あの子は海上の上に立ってる。多分水や海関係の場所で移動補正を受けられるスキルを持ってるはずよ~」
アヤメの説明を受け改めて様子を見る。
なるほど確かに彼女は海上の上を立っている。
足が水に浸かっていないのだ、つまり彼女は水の上でも陸地と大差なく動けるというわけである。
そのスキルも強力だ。水の上を走りながら剣を振るいスケルトンたちをバラバラに切り倒す、その姿はまさにゲームかアニメのキャラクターみたいであるバトルファンタジーな世界だ。
完全に現実離れしちゃってる感じだな。
彼女の戦闘力は間違いなく私なんぞが想像していたものの遥か上をいっていた。
時間にすれば三分も多分経っていない。
それなのに敵のスケルトンの数はあのスケルトンサモナーとかいうヤツを入れてたったの3体になっていた。
圧倒的だチートキャラかよ工藤さん。
「残りはアナタたちだけね……」
残り3体のうち2体の槍を手にしたスケルトンたちが工藤さんに攻撃を仕掛ける。
工藤さんはスキルすら使うことなく二本の槍を捌く、そしてスケルトンたちの頭に斬撃を食らわせて倒した。
「これで、終わりよ」
「ギシャアァアアアッ!」
「!?」
しかしどうやらそれは時間稼ぎだったようだ。
先程からスケルトンサモナーが魔導書を開いてずっとブツブツというかカタカタと何か言っていたのだ。
どうやらこの場に召喚したスケルトンたち全てを使って何かの魔法の発動をする時間を稼いでいたらしい。
「させない! 『飛水杭』!」
工藤さんがスキルを発動する。
両者の間には数メートル以上の距離があったのだがそんな距離は関係なくスキルによって生み出された青い釘がスケルトンサモナーの全身に突き刺さった。
魔法が発動する前に倒せたと私は思ったのだが……。
スケルトンサモナーが妙な雄叫びをあげる、次の瞬間ヤツ自身が魔導書ともに燃え上がった。
工藤さんが燃えるスケルトンサモナーから距離を取る。
やがてスケルトンサモナーを飲み込んだ炎は徐々に大きくなりその姿を人型に変えていった。
「………あれは何だ?」
「おそらくあのスケルトンは自分自身を生贄にした上で本来まともに使役することもできないくらい強力なモンスターを召喚したってところかしら」
「召喚されたのは炎の精霊イフリートだと思うわ、かなぁ~り強力なモンスターよ~? このダンジョンくらいなら簡単に破壊出来てしまうくらいにね~」
あのスケルトンサモナー、とんでもない置き土産を置いて逝きやがったね。
「『飛水杭』!」
工藤さんが攻撃スキルを発動する、青い杭がイフリートに降りかかるが全てその炎の身体に当たる前に蒸発して消えた。
イフリートの目が工藤さんを捉える、工藤さんは剣を構えさらに攻撃仕掛けるようだった。
「ならばこれよ…『
海上の水が逆巻き工藤さんの剣にまとわりつくように動く。
その剣をイフリートに向かって突き出すと大量の水が高圧力で発射されたかのようにものすごい勢いでイフリートに向かって飛んで行った。
太い水柱がイフリートに直撃すると同時に大量の 水蒸気が発生する。
勝負あったかと思った、しかし工藤さん全く油断なく剣を向けたままだった。
そして水蒸気の向こうから無傷の姿を現したイフリート。
「これは…少し困ったかもね」
工藤さんが何かボソッと言った。
多分だけどヤバいのではなかろうか、ならばここは私がどうにかするしかないか?
「ハルカ、アヤメ。あれってどうにかできる?」
「できるけど私たちの存在が多分ばれると思うわよ~?」
「その通りですね、しかしここで見捨てればあの女性の探索者はやられてしまうでしょうね…」
「そうなんだよ、だから2人の力を貸して欲しいんだ」
「……分かったわ」
「了解したわ~」
「ありがとう、それじゃあ行ってみるか」
「うんうんけどその前に……」
「まだ話しておくことがあるわ、ヒロキさん」
「……え?」
銃から聞こえる2人の声、それは新たなスキルについて私に説明してくれるものだった。
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