第三章 本物の探索者
第20話
ダンジョンが成長を果たして三日後。
ダンジョンセンターの方から連絡がありついに依頼を受けてくれる探索者が見つかった。
実は依頼を受ける探索者について事前に幾つか条件をつけた私だ。
例えばダンジョンの探索経験が一定以上あり、ダンジョンに存在する資源やらモンスターやらの知識が豊富ある方が望ましいという風に言っておいた。
そこらへんについてもその探索者の女性は問題ないらしいと言うことなのでさっそく会ってこちらの条件を受けてくれるかどうかを話してみたいと言うとダンジョンセンターの方で落ち合うことになった。
ダンジョンのことや襲撃してくるモンスターのことなどある程度秘密保持の契約を結んでからじゃないと話せないことが多いから直接会ってからじゃないと話が進まない。
ハルカとアヤメにはそのことを話していた、そしてこのダンジョンに出入りするにはダンジョンゲートを一度消すことにした。
というのも私のスキルではダンジョンゲートというのは基本的に一つしか出現させる事が出来ず、一度出したら私が消すまでずっとそこに存在しているのである。
消すときは消えろと念じるとダンジョンゲートは消えるのだ。
ダンジョンセンターからそのまま案内することになるのかどうかわからないが直接その探索者にダンジョンに来てもらうにはダンジョンゲートを用意する必要がある。
さすがに自分の部屋に来てくださいとは言えないからね、というわけでこれからダンジョンセンターに行く。
それにしてもどんな探索者が依頼を受けてくれたのか会ってみるのが楽しみだ。
そしてダンジョンセンターに向かうと男性職員の人に案内された。
ダンジョンセンター内にいくつもあるという依頼関係での密談が行われる個室へと案内してくれるらしい。
ダンジョンセンターの職員の男の人は一礼をするとそのまま仕事に戻って行った。
さてとこっからは仕事というか交渉というかなんかそんな時間である。
私もそこそこいい歳をしているのでボロが出ないように勤めたいと思う。
個室の中に入る。
中には四角いテーブルがあり椅子が三つずつ左右に並んでいる。
そして自分の方から見て右側の方の端っこに座っている女性がいた、あの女性が例の探索者なのだろう。
明るい栗色のロングヘアーと同じ色の瞳、落ち着いた雰囲気もあるが明るそうな女性だ。
年齢は二十歳になるかどうかだと思うが高校生だと言われても不思議じゃない。
美少女と美女の丁度中間あたりの年齢かな、絶対にモテていて下手するとファンクラブとかあっても不思議じゃないレベルの美貌の持ち主だ。
かなり若くないか?
探索者としての実力とか経験がある人をお願いしたつもりだったのだが…。
いやっ人を見かけで判断するとか社会人として三流以下だ、やはり誠意ある態度で向かい合おう。
まずは私も彼女と同様に座り挨拶をする。
「こんにちは、私は依頼を出した一河広樹といいます。貴女が依頼を受けてくれた方ですか?」
相手の女性を静かに笑みを浮かべると自己紹介してくれた。
「はいっそうです。私は
興味があるのか、一体どこら辺に興味が持ったんだろう。
「どこか珍しい内容でもありましたか? この依頼のダンジョンでの採取もモンスタ退治も普通の内容なんですが…」
「その普通の内容で依頼を受けてもらう条件がそこで知り得た情報を一切口外しないで欲しい、という条件がつくのは割と珍しいかなと思いますよ?」
「……そうなんですか」
言われみるとその通りだったわ、やはり自分は人に仕事をお願いするとか慣れてない。
こう言うところで既にボロが出ていたんだ。
「もちろん私の方は少し気になったというのも理由ですし、向かうダンジョンの詳細が不明なのも気になったんですよ。このあたりのダンジョンなら幾つか心当たりはあるんですが向かうダンジョンはそれらではないような気がして…」
なんとなくわかったのはやはり彼女は探索者であり知的好奇心というのが旺盛なのだろう。
だからこそ自分のようなろくに依頼も出したことがない素人の依頼にも興味を持ったんだな。
「…なるほど分かりました、それでは早速こちらの依頼について説明したのですが。その前にこれをお願いします」
自分が取り出したのは一枚の誓約書。
「ここから先の話の内容は他言無用でお願いします、もちろんダンジョンセンターの他の人たちやあるいは親族、知り合いなど可能な限り誰にも言わないでほしいんです」
「もちろん、探索者として信用が第一 。依頼を受ける以上は誠実にそれらを守らせてもらうつもりです」
たかが紙切れ一枚だがそれを守ってもらわないとこちらとしては非常に困る。
今は目の前の女性探索者の言うことを信じよう。
彼女は誓約書のサインをして、その誓約書を受け取り自分は懐に入れた、そしてもろもろの説明を開始する。
その内容は自分が『ダンジョン』というダンジョンを保有するスキルを手に入れたことやダンジョンゲートを生み出すことでそのダンジョンに行けること。
そのダンジョンでの資源の採取プラス近々あるモンスターたちの襲撃の時の戦力として頑張ってほしいということだ。
内容を端的に説明すればこんな感じだ。
そしてそれらの説明を聞いた工藤さんは静かに頷いた。
「やっぱりあのダンジョン講習でのは見間違いじゃなかったわけね…」
「…? 何か言いましたか?」
「いっいえ、こちらの話ですから…」
小さな声で言った彼女の言葉を自分を聞き取れなかった。
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