第4話

8月の第1週の土曜日、私たちはお台場の花火大会に行くことになった。


最後に花火を生で観るのはいつぶりだろうか。


久々の生で観る花火にテンションが上がっていた。


当日、彼が予約してくれたレストランから花火を鑑賞した。


「私、こういうの憧れだったんですよね」


「そう?喜んでもらえてよかった」


                                                                       


花火大会からの帰り道、梨沙子は花火の余韻に浸っていた。


彼も黙っている。


そして、しばらく沈黙が続いた後、


彼から「良かったら、ウチで飲み直しませんか?」


「お邪魔してもいいんですか?」


                                                                        


初めて行った彼の家は、綺麗に片付いた落ち着いた雰囲気の2LDKだった。


「橋本さんらしいお部屋ですね!」


「そう?どこらへんが?」


「きちんと整理整頓されてて、シンプルなところとか!」


                                                                        


そして、その夜私たちは初めて身体を重ね合わせた。


                                                                        


そこからも、2人の関係は変わらず穏やかに続いていた。


                                                                        


9月、梨沙子と健二は1泊2日の温泉旅行に行った


温泉旅行の最中、梨沙子は健二に「僕に何か不満あったりする?」と聞かれた。


「うーん、特に今のところないかな」


「そう?なら良かった」


本当は梨沙子は健二に少しだけ壁を感じていた。


梨沙子自身の性格のせいなのか、その壁が何なのかは掴めずにいた。


温泉旅行から帰って2日後、健二から大事な話があるとメッセージが入った。


そして土曜日、健二の部屋で2人は会った。


そこで打ち明けられた大事な話は思いもよらない提案だった。


梨沙子は1週間考えた後、その提案を受けることにした。



(続く)

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