あの日の約束(仮)

@slow_dance

第1話

日曜日の午前7時。梨沙子はリビングのソファでぼんやりと窓の外を眺めていた。


窓の外に広がる景色は雲ひとつないすっきりした青空で、


まるで、梨沙子の今の気持ちを表しているようである。


今日は、9月25日。


日曜日。


昨年の5月に健二と出会い、ある約束をした日から今日でちょうど1年。




立花梨沙子は、今年で33歳になる。


誕生日がまだ来ていないので、正確には32歳である。


前の恋人と別れて3年近く経つ。


もうすっかり一人の生活にも慣れてきて、日々充実した生活を送れていると思う一方、


将来に対する不安や焦りを感じないわけではない。


それらの気持ちのザワザワを打ち消すために、ヨガ教室に通い始めたり、


最近は家で一人飲みに凝り始めたりしている。


                                                                        


5月、代々木公園で開催しているタイフェスというものに行くことにした。


公園内にたくさんの出店が出ており、タイ料理が堪能できる。


昨年初めて一人で来て、今年も密かに楽しみにしていた。


たくさんの人だかりだ。


ガパオライスと肉料理がのったプレートと缶のシンハービールを買って


どこか座って食べられる場所を探す。


ちょうどカップルが席を立つのが見えて、席を見つけることができた。


座ってゴクゴクとビールを飲んでいたところ、


「隣、空いていますか?」


これが、私と健二との出会いであった。 


                                                                        


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る