君だけに咲く枯れない花

willy

第1章

Prologue

これは、運命に翻弄されながらも、

波乱の時代を強く生き抜いた青年たちの物語である。






時は、2国間の長期戦争がついに終焉を迎え、


ホワイトボワール王国とフランワース王国が平和協定を結んでから


間もなく20年が経とうしていた。





そこで、新たな問題が立ち塞がる。

それは、アリス王女の誕生であった。






────16年前



「イザベル陛下!


元気な女の子が誕生いたしました‼︎」



「なんと!真か!」


「はい!さあ、マリア妃の元へ急ぎましょう!」



ホワイトボワール王国では、世継ぎは男だけでなく


女でも良い慣習になっていた。



「ギャーギャー!」



「陛下!


大きな声で泣くことのできる、元気な王女様が生まれてきてくれました!」



一人のメイドが、元気に泣くアリスを抱き抱える。




「こちらへ。」


イザベル王は、アリスを抱き上げる。




しかし、アリスが泣き止みイザベル王を見つめた瞬間のことだった。



「まさか!この瞳は!」


イザベル王は、アリスのグリーンとグレーの瞳を見て、ゾッとした。




「何とオッドアイを持つ人間が、本当にいるとは──」




イザベル王は、アリスを抱き、メイド長に告げる。






「この子は、世に公表してはならない。


マリアの祖母が、オッドアイを持つ者だったそうが、


私はそれは噂に過ぎないと思っていた。」



「オッドアイを持つこの子は、一体なぜ公表してはならないと?」


「君もこんな昔話を聞いたことがないかね?


オッドアイの瞳の女神が、ある呪いをかけ、魔女だと言われた話を。」


「ええ存じ上げております。


ですが、それはただのおとぎ話に過ぎません。」




「だが、国民はそんなおとぎ話を誠なことだと信じている。


もし、この子がこの瞳のせいで魔女だと罵られたら、


この子は生きていけない。


この子を守るためには、隠すしか他あるまい。」








そうして、不思議な瞳を持つアリスは、


国内の森奥へと安全に暮らさせた。



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