45 残った天使
王はお仕置中に食べられてどっか行ったみたいですし、天使たちもほとんど全て投げ飛ばしましたし、残っているのは水を抜いていた天使と、アーさんが戦ってくれている天使だけでしょうか。
……いや、村にも残ってますね。
「はぁはぁ、ヤニムって名前なのね! ヤニム君、お姉さんといいことしましょ? ね?」
「嫌だよ!」
「あーん、つれない所もす、て、き! ヤニムくーん!」
ヤニムは眠らせ天使さんに気に入られたようです。というか、眠らせ天使は堕天してるみたいですけど……大丈夫でしょうか?
ヤニムに夢中で願いを叶えることを完全に放棄してますね。
まあ、害はなさそうなのでいいでしょう。
あとは……バレンタインと戦っていた天使はどうなったんでしょう?
あっちの方でしたよね。
「うえええええん」
「だっはっは! どうだ、泣かせてやったぞ!」
ボロボロのバレンタインが、号泣している天使の横で高らかに笑っています。……なんか、こっちも平和そうですね。
こっちの天使も堕天してるじゃないですか。この流れで行くとアーさんのところもこんな感じでしょうか?
早くマトンやみんなの顔を見たいですが、天使たちの問題を片付けてからです。
アーさんの方まで飛んで……いや、もう転移が使えるんでしたね。一気に移動してしまいましょう。
「「この……」」
「クソ悪魔が!」
「クソ天使め!」
おお、他のところとは違って盛り上がってますね。2人ともかなりボロボロ……なのかと思いきや、ボロボロなのは鳥の天使だけです。
あれ? 水を抜いていた天使はどうなりました? ……あ、ルールーとシルフィに縛られて地面に横たわってますね。
「ルールー、シルフィ」
「「マーガレット様!」」
「ここを抑えてくれてありがとうございます。怪我はありませんか?」
2人とも大丈夫だとはいっていますが、一応回復魔法をかけて起きましょう。
「……マーガレット様、これ部位欠損も簡単に治ると思いますよ? なんなら、死者も生き返りそうなんですが」
「気のせいですよ。それよりもアーさん、かなり苦戦していますか?」
「いや、多分ですがアーさんは多少手を抜いているんだと思いますよ」
なんででしょう? あの天使とは顔見知りのようでしたから楽しんでいるのでしょうか?
それとも、何らかの事情があって天使相手には本気を出せないとか……なんにせよ心配です。止めに入りましょ……あれ、シルフィ? なんで止めるんです?
後ろに振り返り、私の肩を押さえるシルフィをみます。なんか、すごい微妙な表情ですね。どうしました?
「……マーガレット様にいい所を見せたいのかと」
「……なるほど」
そういうことですか。なら、止めに入るのは余計なお世話ですね。私がやることはひとつです。
「アーさん! 頑張ってください!」
「ぬ、マーガレット! 見ていろ、これが我の力だ!」
私がみていることに気づいたアーさんは、一気に魔力を練り上げます。
あ、これはアーさんの圧勝ですね。ここにきてようやく手を抜かれていたことに気づいた天使はかなり動揺しています。
「な、お前、まさかあの女にいいところをーー」
「言わせん!」
「あびゃぁ?!」
アーさんの魔法が直撃して、天使は気絶しながら地面に落ちます。
お見事ですね、アーさん! かっこよかったですよ。
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