第29話 四天王とか何ですかね?

「マロンが聖女、レンゲが拳聖。2人の英雄職は分かった。あとの2人も英雄職に匹敵、あるいはそれ以上って事なのか?」


「レオン様、拳聖でも上下はあり、レンゲ殿は拳聖の中でも最強ですよ」


勇者パーティーの拳聖ゴルゴンが言う。


「拳聖自体非常にレアで、世界に数人ではありますが、文献に記された内容では、当代の拳聖の中でも最強の一人にだけ発現するスキルがあります。それが『覇王の威嚇』です。覇王の威嚇は拳聖の中でも最上位である証になります」


「つまりレンゲはゴルゴンの上位互換と言うことか?」


「ええ、そう言う事になります」


「他の最上位職も上下はあるのか?」


「はい、最上位職は全てその中でも上下が存在します」


そう答えるのは大賢者ゾラ。


「勇者パーティーの最上位職で、その中でも最上位なのはミラだけです。それ以外の四人はそれぞれの最上位職内での序列は二位です」


「えっ?私って究極魔道士の中でも最強なんですか?漏らしただけなのに?」


「漏らしてるだけなんて事は無いでしょ?そもそも貴方の魔法クリエイト。あれが究極魔道士の最上位である証ですよ」


「あっ、そうなんですね…」


「取り敢えず、特別職のマロン、拳聖最強のレンゲはわかった。他の2人は何なんだ?」


「それは言わないとダメですか?」


レオンの問いにマロンが返す。


「出来れば教えて貰いたいな。もちろん、今後お前達にどうこうしようなんて気はないからな」


「エルクとリナは良いですか?」


「ああ、特に隠してる訳でもないし、別に構わないぞ」


「僕は、隠し事しない主義だし、オープンで構わないよ」


そう言って、俺とリナはステータス画面を開いて、能力の説明をしていった。

途中でミラが「無いわー、そんなん勝てる訳ないやん。ズルやわ〜」と若干キャラ崩壊しながらツッコミをしていた。

あー、うん。俺とリナの能力って、結構チートだからね。

まあ、普通にズルだよね。


「取り敢えず、ある程度は把握した。今後二度と、お前達には出さないようにする。いや、手は出せない」


レオンは俺たちの説明を受け、勝てないと悟ったようだ。

そんな事を話しながらエンデシアに向かう途中に些細な事件が発生した。

俺達は馬車で移動していたのだが、突然馬車が止まったのだ。

馬車から出て見ると馬車を引く馬の頭の部分が全て無くなっていた。

空を見上げると、二体の魔族が浮いていた。


「うふふ、そこに勇者と聖女が揃ってるわねー」


「なんだ、お前達は?」


レオンが馬車から降り、二体の魔族に問いかける。


「我は魔王軍四天王が一人、破壊王ゾラだ」

「うふふ、同じく四天王が一人、遊悪ネロよー」


「四天王が二人も揃って、何の用だ?」


「うふふ、そんなの勿論、勇者と聖女を殺しに来たに決まってるじゃないですかー」

「魔王様に仇なす者、全て我らが処分する」


「ふん、お前達ごときに負けるほど、勇者は安くないぞ!」


勇者は聖剣エクスカリバーを構え、四天王の二人に切りかかるが…

あっさりと瀕死の状態になってしまう。


「何故だ?四天王ごときに遅れを取る事など無いはずだ」


勇者及び、ミラ以外の勇者パーティーで四天王に挑むが、全く歯が立たない状態だ。


「うふふ、私たち四天王は、最近魔王様に、更に力を頂いて、今までの数倍の力になったのよー」

「勇者パーティーごときに、我らが負ける事など無くなったのだ」


「クソッ!…」


そんな状態に見かねた俺とリナがマロンにバフを掛ける、500倍の。


「マロン、行ってきてもいいぞ」


「やっと、魔族を切り刻めるのですね。楽しみです」


マロンが光剣を出し、ウットリしながら答える。

ついでに飛行魔法の札も破り、空でも戦えるようにしてある。


「じゃあ、ちょっと切ってきますね」


マロンがニッコリと微笑んだ次の瞬間には四天王二人の前まで移動し、一瞬にして両断していた。


「やっぱり、この斬る感触、堪りませんね…」


マロンは、頬を紅く染め光剣を見つめ、斬った感触に酔っていた。

うん、マロンは絶対に聖女向きの性格じゃなかったね。

完全に戦闘狂とか人斬りの境地だよ、怖いよ聖女様。

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