第26話 決闘
「では、まずはレンゲさんと勇者パーティーの皆様の決闘を行わせて頂きます。本当に1対5で宜しいですか?」
「うん、私頑張るね、マロンお姉ちゃん」
「はい、頑張って下さい、レンゲちゃん」
そう言って、レンゲは勇者パーティーを相手に一礼し構えを取る。
その後ギルドマスターが「始め」と合図をすると
「『覇王の威嚇』」
レンゲのスキルの影響で、五人の防御・俊敏のステータスは限界まで下がることで、レンゲの攻撃を受ける事も回避する事も出来ない。
「行きます」
レンゲは五人に対し、一瞬で距離を詰め、一人、また一人と一撃で沈めて行く。
四人を一撃で沈めると、最後に残ったのは唯一の女性ミラだ。
しかし、ミラは覇王の威嚇のスキルを受け、レンゲに睨まれた時点で既に前のマロンと同様の状況となっていた。
つまりはお漏らしだ。
ミラは床にへたりこみ、その床は一面濡れていた。
ミラは既に戦意など皆無となり、両手を上げ降参をしていた。
「それまでのようですね。この試合はレンゲさんの圧勝ですね」
ローラが試合の終わりを告げる。
俺たちのパーティーは、当たり前のように見ていたが、勇者やその他の人間は有り得ないと言った顔をしている。
「さて、次は勇者様とエルクさんですね。準備は宜しいですか?」
「はい、何時でもいいぞ」
「クソっ、お前だけでもぶっ殺してやる!!」
「勇者様、相手を殺しては行けませんよ。それでは中央に集まってください。では行きますよ。始め」
ローラの合図を聞き、勇者は速攻でエクスカリバーで攻撃を仕掛けてきた。
俺は取り敢えず常時発動型しか使っていないので、今は100倍だけだ。
なのでステータスはオール2万。
勇者のステータスはオール1万なので、ちょうど倍だ。
しかし、勇者は戦闘系のスキルを多数所持していることもあり、現時点では勇者と俺は互角にやり合っている。
「馬鹿な、この俺様と互角にやれるだと?貴様は一体何者なんだ!」
「んー、俺はマロンのパーティーメンバーの一人なだけだぞ。勇者の全力なんてこんなもんなのか?そろそろ本気を出してもいいか?」
「ふざけるな!まるで手を抜いてるような言い方だな!食らえ『聖斬砲』」
勇者がエクスカリバーを振り下ろし、聖なる斬撃を飛ばしてきた。
俺はそれを剣で受け止めるが、剣が耐えられず折れてしまった。
「あーあ、安物とはいえ愛剣だったんだがな。さて、じゃあこっちも真面目に行くぞ」ビリッ
俺はポケットに入れてた紙を取り出し破り捨てた。
「なんだその紙は?ふざけてるのか?」
「まー、ここからは俺のターンだ」
そう言って更に10倍になったステータスで全力で移動する。
ステータスは単純に勇者の20倍。
勇者は俺の動きに全くついて来れなくなっていた。
「貴様、何をした!!」
「ちょっとバフを使っただけだぞ。能力値が10倍になるな」
「なに!?10倍だと!!嘘を言うんじゃ…」
勇者が叫んでいたが、最後まで聞いてやる義理もないので、一瞬で間合いを詰めて
「せーの」ボフッ
俺は全力で勇者に腹パンをかました。
勇者は白目をむいて、そのまま倒れ込んだ。
「それまでのようですね。勝者はエルクさんですね」
ローラがエルクの勝利を宣言した。
現状、勇者パーティーで意識が残っているのはミラだけだ。
ミラ以外は全員気を失っている。
ミラもまだ立ち上がれないようで、水溜まりの上に座り込んだまま、全身を震わせていた。
流石に女性をそのままにしておくのは可哀想なので、マロンに頼んで着替えに行ってもらった。
ついでに、マロンの慈愛のスキルで、ミラには落ち着いて貰った。
こうして、俺たちと勇者パーティーの模擬戦に決闘は幕を閉じた。
今回の模擬戦と決闘の結果により、俺・レンゲ・リナは晴れてSランク冒険者となった。
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