ゲームのキャラクターに一目惚れをしたらそれは弟だった件

金木犀

第1話 冴えない私



私は高校3年の冴えない女、菊池紗奈である。

成績も運動も特に凄いわけでもなく、友達だってそれほど多くない。

恋愛なんて一度もしたことなんてない。

そう、いわゆる何の取り柄もない冴えない女なのである。


最近よくTVでもクラスでもゲームの話ばかりしているのをよく耳にする。

私は気になってはいたが一度もゲームをした事がなかったので私には関係ない話とばかり思っていた。

そうあの頃までは───────


私は4人家族で中学3年の弟が一人いる。

弟は私とは正反対で勉強も運動も出来るし、友達も多くモテるらしい。

私の数少ない幼なじみにも妹がいて、その妹も中学3年で私の弟と同じクラスみたいでモテていると言っていたそうだ。

私から見ても正直よく出来た弟だと思う。

だが私たち兄弟の仲は一言で言うならとても悪い。

弟が私のことを避けている…。

いや、避けているというか嫌われている。

よく弟からはなんでこんな冴えなくて可愛くないのが俺の姉ちゃんなんだよとよく言われる。

私を見る目がとても家族を見る目では無い…。

私も姉ではあるので言い返したい気持ちはあるが完璧な弟がこわく何も言い返せない。

親はというと弟は何でも出来るのでとても期待されていて可愛がられている。

私はというと期待どころか放ったらかしな気がする。どうぞお好きにって感じである。


その日は弟が友達を数人家に呼んでいた。

急に弟が私の部屋に入って来ていなや「今から友達が来るから絶対この部屋から出るなよ。友達と絶対会うなよ!」と言われ強めにドアを閉められた。

私だって人間なのでイラッとしたが言えるわけもなくグッと我慢した。

数分後、弟の友達が遊びにきた。

『ピンポーン 隼人ー! 』

誰か一人が弟を呼び、家の中へ連れて行っていた。

私は言われた通り部屋から出ないようにしていたがどうしてもトイレに行きたくなり恐る恐る部屋から出た。

弟の部屋からは賑やかな声が聞こえていたので部屋の中にいるものだと思い安心した。

トイレの近くに着いたら突然トイレの中から見知らぬ男性が出てきた。

「うわっ!お、お邪魔してます!もしかして隼人のお姉さんですか」

そう言われやばいと思ったが挨拶をされてしまったので軽く会釈をして逃げるようにトイレの中に入った。

そのうち弟の友達が帰り静かになったと思ったら、突然弟が部屋に入ってきて「おい!なんで部屋から出るなって言ったのに出てんだよ!友達から姉ちゃんと今会ったぞって言われてなんかお前に似てねぇなって馬鹿にされたじゃねぇか!恥ずかしいんだよこんな冴えないのが姉ちゃんだって」と言われてしまい凄くショックだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ゲームのキャラクターに一目惚れをしたらそれは弟だった件 金木犀 @drink100

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ