第341話 先に行く。

 ここはロージアン共和国の首都。


 その中央にある建物にて、三人の男性が話す声が響いていた。


「いやはや。前教皇の一人娘が教皇の座に収まるとは……。世の中、分からないモノだねぇー」


「はぁ。ナイトメアの連中と密約を結んで利益を出していたちゅうに。余計なことしてくれたわ。ほんま」


「気に食わんな。小国の癖に」


「それは確かに。けどけどぉー。その一人娘……ソフィアちゃんと言ったかしら? 彼女の手駒は絞っていたと聞いていたのよ。それで、国を取っちゃうなんてぇ。すごくなぁい?」


「確かになぁ。よっぽどいい手駒が居たんか?」


「知らん。国に無能が多かったんじゃないか?」


「あぁ。あり得る。戦争続け過ぎちゃったからね。内情ガタガタではあったのかなぁー」


「あと薬やんなぁ。しかし困ったわ。いろんなところから薬が足りへんって苦情が出てんけど。稼ぎがほんと減ってしまうわー」


「金。金。金。うるさいな」


「あのねぇ。金がないとビギンズ……アンタの大好きな戦争もできないのよ?」


「そうやで。金掛かるかなぁー。何が楽しくて戦争なんて……ほんま、やりたないわ」


「ふん。そう言って……頭の前では何も言えない癖に」


「それは言わないでぇ」「それは言わん約束やん」


「ケケケ」


「っとぉ……頭、起きているかしらぁ」


「失礼するでぇー」


「……」


「あらん。いないわねぇ。今日もお寝坊さんかしら?」


「そやなぁ……ん? なんや、紙」


 デスクの上には『先に行く。ゆっくり来るがいい』と書かれた紙が一枚。


「先に行く? どこにだ?」


「ま、まさか……先に戦場に行ったちゅうこと?」


 短い沈黙の後で、三人の男性は顔を見合わせた。慌てた様子で……鎧を着こんだ兵士達へと指示を出していった。

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