第152話 本当に何気ない雑談。


「おほん。今ならば、おそらく白の騎士団に選ばれていただろうか? いや、実力的には満たしていても選ばれていないか」


「ん? なんでですか?」


「ふ、女の身で白の騎士団に選ばれるなら圧倒的な強さが必要なんだ。言うなら、師匠ほどの強さが」


「なるほど」


「お前はもし問題を起こしていなければと言っていたが、私は騎士団を退団したことを今はまったく後悔していないがな? これは強がりではなく、金の騎士団の団員にムカつくヤツが居てな。離れられて、清々しているんだ」


「……なるほど」


「まぁ、それで話を最初に戻す。私が金の騎士団でしていた仕事だが、今と特に変わらないな。要人……主に女性の護衛をやっていた。まぁ、それがあったから師匠にリリアお嬢様の護衛を引き受けないかと誘いを受けたから、変わる訳がないんだが」


「そうか、よくよく考えたらそうなりますよね。ミロットさんとは随分と長い付き合いなんですか?」


「師匠は金の騎士団に選抜された時は上司であったからな。一生勝てないと思っている」


「ハハ……じゃ、仕事のことを更に聞きたいどんな人を護衛したんですか?」


「守秘義務はあるが、もう時効だろう。第二王妃のローレンス様、第三王女フレイア様……今は確かとかエービス侯爵の次期当主様の正妻だったかな? それから貴族夫人など」


「へぇーエービス侯爵の次期当主様は会ったことないな。しかし、シャロンさんは王妃様やお姫様とも面識があるんですか。すごいですね」


「あぁ、一応な護衛として近くに居て数回話しただけだが……それでもフレイア様とは結構仲良くなったかな? あの方は王族とは思えないほどに温和な人で……何よりお酒好きでな、気が合ってたまに飲んでいた」


「……それって大丈夫だったんですか? もしかして、退団の理由って?」


「いやいや私の退団とフレイア様はまったく関係ないから」


「そうですか? シャロンさんとお酒が絡むと……残念ですからね」


「うるさい。それで騎士団の仕事に興味でたか? お前だったら私が推薦状を出してやってもいいぞ?」


 シャロンがニールの方へ人差し指を指さした。


 ニールは両手を上げて、驚きの表情を浮かべて首を横に振る。


「え? 推薦状? いやいや騎士団とか危なそうでキツそうじゃないですか……身体能力の低い俺には無理ですよ」


「んー確かに。最近だいぶ体力が付いてきたとはいえ一般人と同レベルだからな。そもそも、私の推薦があろうと入団試験に受からんか……いや待てよ。アレだ。お前、アレに出るんだろ?」


 シャロンが何か思いついたのか、パチンと指を鳴らした。


「アレ?」


「オリンピアだよ。オリンピアを出場する国の代表を選ぶ選考会で上位入賞すると騎士団からスカウトが来るんだ。スカウトがあれば厳しい入団を通らなくてもいい」


「あぁ、そういえば……地区予選とかもあるんですよね? あれって強制なんですか? 俺ってリリアお嬢様の護衛の仕事があるから……でなくてもいいのでは?」


「本来なら対象から外れるだろうが……師匠が言っていたぞ?」


「……ミロットさんが何を?」


「お前を未成年の部に出すと、未来ある子供達が可哀想だから……青年の部に出るようにとのことだぞ?」


「俺も未来ある子供なんですが?」


「私もそう思ったが、今のお前が今更子供達に交じってもな。それに力に自信のある子供は青年の部に出場するのはよくあることだ」


「えーなんですか? それ、聞いてないですよ!」


「そりゃ、今初めて話したからな。私に言ったところで、どうしようもない。師匠に直談判するんだな」


「……それって聞き入れられると思いますか?」


「いや」


「ダメだぁー」


 頭を抱えたニールの声が虚しく馬車の中に響いた。


 馬車はちょうどクレッセンの街にたどり着いき、ウィンズ子爵家のお屋敷へと向かって走り出した。


100万PVとコメント付きレビュー感謝のゲリラ投稿。ありがとうございます😭

作者太陽




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る