協定関係

「コウヘイさ、"サクライさん"と修学旅行回りたいなら協力してくれない?」

突然の提案。青天の霹靂。ていうか何で知ってる。

アスカに突然申し渡されたのは修学旅行班決めの少し前の事だった。

「何で急にサクライ?さんが出てくんだよ。それに一緒に回るやつならもう殆ど決まってるし…」

「ふーん、あっそう。じゃあサクライさんが他の男と良い感じになっても良いんだ」

それは聞き捨てならない。

「それはどういう…、いや、というか何で」

「何でサクライさんがって?」

そうそう。

「コウヘイはさ。基本フラットなわけ、女の子に対してね。でもサクライさんには違う感じしたからそーなのかなーって」

女の感、恐るべし。姉貴たちもそうだが標準装備なのかそれは。

「ま、まぁ多少気に掛けてはいるかな。委員会が同じだし」 「で、他の男って誰?」ワントーン低くなってて自分で驚いた。

「同じクラスにクロキくんっているでしょ?気になってるんだって!席が隣同士だから教えて貰っちゃった」

貰ったものを漏らすなよ。そんなところまで標準装備してなくていいから。

しかし、"くろき"、"クロキ"か。何となくわかるような分からないような。話した事ないのは間違いない。ただ、人を観る眼は確かな様だ。いいよなっ!サクライさん。絶対譲らんけど!

「で、それで何でお前に協力って話になるわけ?」

話が見えない。

「私は…さ、クロキくん、ちょっーとだけいいかなって」  おっと、そうきたか。

「えっ、お前それマジ」

「ほんとにちょょっっとだけ、もしかしたら勘違いかもだから此処だけにして!」

この様子からして本当の様だ。ホントウ…?


アスカとは一年の頃から同じクラスで、男子グループと女子グループの中でも割と仲の良い友達だか、男の趣味はあまり良いとは言えなかった。

というかわかり易かった。他の女子にも人気のありそうな男子みたいな。何故か俺にはそういうの無かったみたいだが。

そこからいけば、意外すぎるチョイスである。

「…つまり、お前とオレでサポートし合うみたいな話か」 逆を言えばクロキとサクライさんの仲が深まらない様妨害するとも取れる。

「そういうこと!あの二人がほんとに良い感じになるならそれはそれで良いと思うし」

全然良くないんですけど!しかしやっぱり優しいなコイツは。

同じ委員会になったものの、それ以上踏み込む事も出来ずにいたのも事実。これはチャンスなのかもしれない。

「…わかった。協力する。但し、あくまで妨害じゃなくて自分達のアピールの為に、な」

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