第41話

 修正版を『最強無敵厨二病少年の勘違い英雄譚~我は全てを知っている(๑• ̀ω•́๑)✧ドヤァ(知らない)〜』を投稿しています。

 そちらを見てくれると嬉しいです。

 引き続きこちらでも下書きとして更新は続けさせていただきます。


 私はいつもより慌ただしい倉橋家の屋敷を歩く。

 倉橋家に仕えている使用人が慌ただしく動き回っている。

 重い、重い足を無理やり動かして前へ前へと進んでいく。

 辿り着いた場所はお父様が待っている大広間の扉の前。

「すーはー」

 一度深呼吸してから中に入る。

 大広間の一番奥の上座にあぐらをかいたお父様が座っていた。

 私はお父様の前まで行き、正座して座る。

「……」

「……」

 しばらく沈黙が続く。

「神奈……ひとまずは任務ご苦労だった」

「……ありがとうございます」

 私は頭を下げる。

 ……この頭を下げたままでいいのならどれほど気が楽だろうか。しかし、ずっと頭を下げたままというわけにはいかない。

 私はゆっくりと頭を上げる。

「神奈。学校での任務の方はどうだ?」

「……申し訳ありません、成果は芳しくありません」

 私は頭を下げる。

 そして、すぐに頭を上げる。

 私はもう覚悟ができた。

「……私が言いたいことはわかっているな」

「……はい」

 ……動揺するな。

 もうすでに覚悟は決めたはずだ。

「……一週間後。かの魔怪がお目覚めになる。我ら一族が長年管理してきた怪物だ。正真正銘の怪物が」

「……はい」

 理解している。……お父様が何を言わんとしているのかも。

「我らは生贄を出す。生贄を出すことで怪物の怒りを鎮め、何事もなく眠ってもらう。これが我ら一族の宿命だ。毎回多くの有能な陰陽師を生贄として捧げている」

「……はい」

「それが一人で済むというのなら良いとは思わぬか?」

「……はい」

「……」

 お父様はそう言ったきり沈黙してしまう。

 あぁ。私から言えと。私から言わなくてはいけないということなのか。

「お父様」

「なんだ……」

「私を生贄として捧げてください。家族のため、お家のため、配下のため私は命を捧げます」

「……」

 私の言葉。

 それを受けてお父様は沈黙をもって返す。

 ……お父様?

「……了承した」

 お父様は頷く。

「お前を生贄をして捧げることにする。準備を進めておけ」

「はい」

「もう退出していいぞ」

「はい」

 私はお父様の言葉を聞き、立ち上がる。

 部屋を出た私はお父様に一礼し、大広間を出る。

 うつむく。

 私は覚悟を決めたのだ。

 私は自分の部屋に向かって歩き出す。

 ────その時、私の目に慌ただしく動き回っている使用人の姿は映らない。

 私は自分の部屋にたどり着く。

 そして────

 崩れ落ちる。

 ……。

 …………。

 私は、私は、覚悟を決めたのだ。

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