第36話

「……テストなんて滅んでしまえばいい」

 悠真が食堂の机に顔を突っ伏し、つぶやく。

 昼休みの時間、僕は食堂で悠真と一緒に勉強をしていた。

「……同意」

 僕はそんな悠真の言葉に同意する。

 6月ももう後半。

 僕達は来たる一学期期末試験に頭を悩ませていた。

 テスト要らない。面倒。なんでテストなんかあるのだろうか。

「あ、倉橋さん」

 僕はたまたま近くを通った倉橋さんに声をかける。

「ん?何?」

「期末テスト近いけど、倉橋さんはどう?勉強のほどは」

「……え?」

 僕の興味本位で聞いた何気ない一言が、倉橋さんの時を止める。

「きまつ、てすと?」

「あれ?」

 僕は倉橋さんの反応に首を傾げる。

「もしかして知らなかった?」

 まだ来たばかりの転校生だから知らされていなかったとかかな?

「……いや、でもつい最近も先生が告知していたよね?」

「……考え事をしていて、聞いていなかった」

「えー」

 ちゃんと先生の話は聞いていなきゃだめだよ!まったくもう。

「ど、どうしよう!わ、私全然勉強していないよ!」

 倉橋さんが目に見えて慌てだす。

「以前の学校での中間テストどうだったの?」

「……」

 僕の質問に倉橋さんは目を逸らす。

「……赤点が3つ。……苦手な数学の授業とか何もわかっていない」

「え?やばくない?」

 こくり。

 僕の素直な感想に倉橋さんは小さく頷いた。

「ふふふ、こんなところに俺の仲間がいたか……」

 食堂の机に顔を突っ伏していた悠真が顔を上げ、倉橋さんのことを見る。

 その瞳は希望に輝いていた。

 ……底辺仲間見つけたくらいで希望を持たないで?

「二人はどうなの?」

「悠真は前回赤点ばかりだったけど、僕は赤点とらなかったよ。順位も一桁だったしね」

「えぇ!?」

 僕が倉橋さんの疑問に答えると、倉橋さんは目に見えて驚く。

「あぁ。意外なことにな……」

 倉橋さんに視線を送られた悠真も神妙そうな顔つきで頷いている。

「え?何その反応。まるで僕が馬鹿だと思われていたみたいじゃないか」

 僕の言葉に二人はうんうんと頷く。

 え?

「し、心外だよ!心外!」

「いや、ねぇ?」

「なぁ?」

 二人は顔を見合わせ、頷く。

 な……な……なぁ!!!

 僕は馬鹿じゃないよ!

 失礼しちゃうよ!

「ふんだ!二人が赤点回避できるように勉強を教えてあげようと思ったのに!もう教えてあげないから!」

「えぇ!?あ、ごめん!お、教えて!本当に私無理なの!」

「ふんだ!」

 僕は一生懸命謝ってくる倉橋さんに背を向けた。

「あぁ!?」



 やっべ……予約投稿忘れてた。

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