第41話 小話6
※腰痛のため、携帯からの更新になります。誤字脱字等ありましたら、コメントいただけると幸いです。
1. 女の園
いつも通り暇な時間。
でもいつもと少し違う。
チューバの2人がいるから。
私ときょうこちゃん、りさ先輩とゆいちゃんの4人でプチ女子会。
とはいえ、全員どちらかというとガチというよりほんわか仲良くやろうよというタイプなため、のほほんと柔らかな時間が過ぎていた。
思春期女子が集まれば、話はおのずと決まってくる。
恋バナとその先の話。
矛先は私ときょうこちゃんに向いていた。
「なぎちゃん、仁君なの?奈良君なの?」
「恋愛感情はないですけど、奈良先輩の方がタイプです。」
「じゃあ、きょうこちゃんはまさ君?」
「もう〜!りさ先輩までそういうこと言う!」
私ときょうこちゃんはアイコンタクトでお互いを庇いあった。
「きょうこちゃんは、藤ヶ谷太輔くんがいるみたいですよ…!」
「ああ〜、ジャニーズの。」
「なぎ先輩は、可愛い系のジャニーズが好きなんですって。」
「可愛い系かあ…。」
「ってか、パーカス女子組はそういう相手がいて良いですよね〜。」
「ゆいちゃん?」
「りさ先輩も私も音沙汰ないんですよ〜。」
「ゆいちゃん、こんな子いいなあとかないの?」
「…。」
これはいる反応、ここで引いたら負けだと思い、私は押した。
「部員?クラス?」
「…クラスです…。」
初めての話に私とりさ先輩はきゃーきゃー黄色い声を出した。
きょうこちゃんの様子がおかしいことに気づき、私は問いかけた。
「どしたん?」
「いや、別に…。」
「もしかして〜、ゆいちゃんのいいなって思ってる人知ってるんでしょ〜??」
きょうこちゃんは視線を右往左往させて明らかに動揺していた。
ゆいちゃんもそわそわし始め、落ち着きがなくなっていた。
「…そんなんじゃそれ以上は聞けないって(笑)」
私はこれ以上詮索しない方向で話を進めようとした。
するとゆいちゃんが口を開いた。
「ここだけの秘密にしてください…!」
「え、りさ先輩はともかく私は直属の先輩じゃないから無理に聞かないよ!?」
「いや、どうせなら話します…!」
「なぎちゃんの言う通りだよ?無理して言わなくて良いんだよ?」
私とりさ先輩は、無理やり言わせているのではないかと不安になり、止めに入った。
「りさ先輩となぎ先輩なら、安心できるから…。」
私とりさ先輩のバックにLove so sweetが流れた。
「…実は…しゅんのすけくんと…ちょっといい感じなんです…。」
「ゑ?」
「何かあったとかじゃないですけど、他の子より少しいい感じというか…。」
「ヱ?」
「きょうこちゃんは知ってるから…。」
「「ええええええええ…!」」
「いい感じってどういうあれなの?」
「しゅんのどこがいいの?」
りさ先輩と私の問いかけに、ゆいちゃんは少し照れながら答えてくれた。
「しゅんのすけくんに、ゆいさんは他の子と違って話しやすいし一緒にいて楽だねって言われたんです…。それから、クラスでもなんか結構一緒にいるというか…。」
「しゅんのすけくんのこと最初はあんまり好きじゃなかったし、なんか嫌だったんですけど、ガチ先輩が怒った後から、なんか急に変わって…。そこからしゅんのすけくん良い人なのかな?って思って…。」
「ごめん、私にはしゅんのよさが分からん。」
私はぶった切った。
「私は少し言いたいこと分かるなあ〜。」
りさ先輩は感慨深い感じで話した。
「りさ先輩ほんとですか!?」
「うん、だってあの子頭悪くないじゃん。調子乗ってた部分もあるだろうけど、地頭は良いと思うよ。それに、ゆいちゃんが他の子と違うところを見抜いてるところが良いね。」
「褒めてくれて嬉しいです〜。」
りさ先輩はゆいちゃんを撫でて、微笑んでいた。
「ゆいちゃん、私のこと…。」
「なぎ先輩は奈良先輩がいるんだから別にって感じです!よっぽど取り巻きの女の方が嫌です。」
きっとしゅんから聞いているのだろう。
ゆいちゃんは物分かりの良い子だと返答で分かった。
「じゃあ私、一応知らないフリしておくわ。」
きっと私が知っていたらしゅんはテニスで本調子が出せないだろう。けいすけ(テニスの後輩兼卓球部)にも知られたくないだろうし。
「なぎ先輩ほんと好き。」
「私も。」
「私だってなぎ先輩のこと好きだもん。」
「きょうこちゃんのことも大好きよ。」
可愛らしい後輩に囲まれ、私は幸せ者だと思った。
「私たち3人はりさ先輩のこと大好きなんで…!」
りさ先輩は腕を広げておいでのポーズをした。
私たち3人は不気味な体勢で抱きしめ合った。
やっぱり私が1番まな板だった。
2. 弾力
仁先輩と奈良先輩は仲が良い。
私と菅井先輩も仲が良い。
暇さえ有れば集まってだべるのがいつものことだった。
アンコンの時は4人だったこのグループも、後輩が入り、8人になった。
今回は学校の愚痴がテーマで、みんないろんな愚痴を抱えていた。
そういえば…と思い私はみんなに問いかけた。
「みんな生徒手帳、なんで胸ポケに入ってないんですか?」
しゅんが答えた。
「男子は学ランに入れてますよ?」
「え、そうなん?」
仁先輩と奈良先輩も答えた。
「あんなん読まなくない?要らんやん。」
「男子は学ランの内ポケットに入れてる。」
「まさ君も?」
「そうですね、大体そうだと思いますよ。」
「へえ〜。」
でもどうしてじゃあ女子は入れてないんだ?
私は不思議だった。女子はブレザーのポケットではなく胸ポケットに入れると思っていたから。
でもその場にいる女子はみんな入れていない。
意味が分からなかった。
「菅井先輩もまいちゃんもきょうこちゃんもなんで入れてないんですか?」
3人は戸惑いながら言葉をつまらせていた。
「もしかしてブレザーに入れなきゃでしたっけ?」
「いや、違うよ。胸ポケットで良いんだけど…。」
「???」
仁先輩がいきなり笑い出した。
「ふふっ…くっ…菅井さん…言ってもいいと思うよ…ふふっ…。」
「え、仁先輩男なのに知ってるんですか!?」
「なあ、奈良??ふふっ…。」
「奈良先輩も知ってるんですか!?」
「いや、まあ…うん。」
「しゅんとまさ君は?」
「まあ、はい。」
「予想は…まあ…。」
その場にいる全員が何故か笑いを堪えながら、不思議な雰囲気を醸し出していた。
「え?なんで?」
「菅井さん、代表で言ってあげて…ハハッ。」
菅井先輩は生徒手帳をブレザーから取り出し、私の方に向いた。
「なぎちゃん、見てて。」
生徒手帳は胸ポケットに入らず、そのまま上に飛んでいった。
「ま、まさか…。」
きょうこちゃんとまいちゃんは同時に私に謝った。
「ごめんなさい。」
「ごめんなさい。」
仁先輩は爆笑しながら、言葉を発した。
「そういうことなんだよ!!ハハッ!!」
某ネズミのような感じで言われ、イラッとした。
「菅井先輩もきょうこちゃんもまいちゃんもその肉が邪魔で入らないってことですか?」
「そうね…。」
「男子はみんなそれ知ってて笑ってたんですか?」
「ふふっそうだよ!!神奈川ちゃんの勇気すげえわ!!」
私は3人の女子の胸と自分の胸を見比べた。
何をどう足掻いても、私には平地が広がり、谷間や盛り上がりなどは全くなかった。地ならしが必要ないレベルに。
「どうしたらその肉は私につくんですか?」
「その肉、2つありますよね?少しずつ分けてもらえませんか?」
「3人いるなら少しずつもらっても良いですよね?」
3人の女子は、私を宥めようと必死だった。
「まあまあ、落ち着いて。なぎちゃん。」
「なぎ先輩の良さを分かる人はいますって。」
「なぎ先輩は抱きしめ心地が良いってことですよ!」
1年男子は私が先輩であるため、笑いながらも無言だった。
私は少し落ち込んだ。
「…やっぱり肉がある方がいいよなあ…。」
仁先輩はつっこんだ。
「肉って呼び方おもしろいけど伝わるのここだけだよ。」
「それに、分かる人、いるじゃん。」
その場の視線は奈良先輩に向かった。
奈良先輩はため息をつきながら答えた。
「そんなことより、中身だろ。性格が良くなきゃ身体がどうであれ好きにならねえだろ。」
私はその場から走り去った。
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