奇数
奇数は嫌いだ。意地悪な気がする。二人組を作るときに一人余るからだ。だからかもしれない、私は偶数には丸いイメージ、奇数には角ばったイメージを持っている。
小学校一年生の時に二人組で行う童歌のような遊びを授業中にやったことがあった。二人組はやるごとに変える、というもの。そのクラスが奇数だったのか偶数だったけれど一人休みだったかは覚えていない。だがともかく、誰か一人は同級生とではなく、先生とやらなければならなかった。なんとなく二人組を作って、余った一人が先生のところへ行き……。いつしか私は二人組を作らずに真っ直ぐに先生のところへ行くようになった。作るのが面倒くさかったし、「私さえいなければぴったりなのに」という思いもあった。何度か続いた後、先生はクラスのみんなに、私がずっと先生とやっている(心優しい子だ)と呼びかけた。そして二人組を作る時、先生はどこまで私の気持ちを理解していたかはわからないが、そっと背中を押された。「いってらっしゃい」と。
その後も二人組を作るのは苦手だった。中学校に入ってからは特に。英語の時間などに「二人でやりとりをしましょう」というのに一回目のターンではほぼ毎回一人になり、気を使った先生とやる羽目になった。少し虚しかった。だから本を読んで奇数が嫌いだったり五人組のグループで戸惑ったりする主人公がいると共感を覚え、他にもいるんだ、と安心した。
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