第6話 特訓

「恵姉ちゃん。特訓っていったってどうするの。」

「ズバリ、長時間脳トレ。集中力もつくしね。」

「長時間脳トレってどうするの。」

「普通の脳トレって5分たらずじゃない。ちょっとずつ時間を伸ばして3時間くらいしてみよう。」

「3時間。」

「中学生の頃、本で読んだのよ。ニュートンは研究に夢中になって腕時計を茹でたそうよ。最近の話だと小説家の湊かなえ先生は炊飯器から携帯電話が出てきたそうよ。それくらい夢中になってやってみよう。あと私は医学関係の本を読んで回復の能力を高める。」

「僕の火の能力はどうすればいいの。」

「自分で考えて行動するしかないの。能力はその人の個性だから。」

「僕もとりあえず脳トレと図書館通いと、あとは焚火動画を見ようと思う。」

「いいんじゃない。具体的なイメージになると思うよ。」

僕と恵姉ちゃんは僕の実家に戻ることにした。脳トレは意外と単調で成果が見えにくいものだった。僕は10分間、川島隆太教授の計算ドリルをしただけでも疲れるありさまだった。これで大丈夫なのだろうか。

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