第16話 新事実

 

 静かな食事だった。



 いつもの師匠なら、毎回ご飯の時間は大騒ぎしているのだが、ナイフとフォークを巧みに使い分けまるで貴族のようにきれいに食べていた。

 貴族なんて見たこと無いけど。



 何だあの変わりよう





▼△▼






「こちらです」




「はい……」




「では、ごゆっくり……ガヂャ」




 そう案内された場所は、俺が今日泊まる部屋だった。



 ベッドの大きさがおかしい

 おそらくキングサイズよりも大きい。

 これってファミリーサイズと言う物でではないか。

 初めて見た。



 大きくてフカフカそうなベッドを目の前にしてやることは一つ



 狙いを定め……




「………ベフ」




 ベッドにダイブ

 あぁ気持ちいぃ〜

 このベッドに包み込まれる感覚す、すげぇ〜。




「…………」




 やばい。

 どっと疲れがきた。

 今日な濃厚な一日だった。

 このまま寝たら気持ちいいだろうなぁなどと考えている内にウトウトして意識が薄れていく……。




「コンコン」




 ノックされた。

 全く誰だよ眠りそうだったのにと若干不機嫌になったが仕方なく重い体を起き上がらせドアへ向かう。




「は〜い…」




 ドアを開けそこに立っていたのはシャイナさんだった。


 

 どうしたら良いのか分からず数秒固まっていたら、俺の有無を聞かず部屋に入ってきた。



 ワンテンポ遅れ、「どうぞこちらに」と椅子を引いた。




「「…………」」




 や、やばい。何か話さないと…




「きょ、今日はいい天気でしたね…。」




「………」




 やらかしたぁぁー!

 何いってんだよ俺

 焦り、何か話題を探さないとと思っていたその時




『こちらは雨でしたよ』




 喋りかけてきてはいないはずなのだが、確かにそう聞こえた。

 俺たち以外にこの部屋に誰かいるのかと周りをキョロキョロしていたら




『どうかしましたか?』




 俺の方を向き首を傾げながら不思議そうな顔をしているシャイナさんが目に入った。



 まさかと思い



「もしかしてさっきから聞こえる声って」




『私ですけど?』




「え?」




『テルナから聞いてなかったんですか?』




 なんのことだろうか




「はい」




『そうですか…。実は喉が潰れていて声が出ないのでこうやって魔力を通してお話をしているんです。』




『まぁ一対一でしか会話できませんが』




「そうだったんですか……知りませんでした」




 師匠が食事の時静かだった理由はこれか…




『突然部屋に来てしまい申し上げございません。お休みになられてました?』



 さっきまで眠りそうだったが



「いえ、起きてましたよ」



 嘘をついたほうがいいだろう。



『そうですか…。早速本題に入るのですが、食事の時テルナからあなたの魔法を見てしてほしいと言われたので来ました』



 え?

 一体どういう……



『あの子は魔具専門の魔法使いなのでこういう事は専門外なんですよ』



「魔具?」



『あれ?あの子言ってなかったんですか?全くどう言うつもりなんでしょうかね』



 いや俺に言われても



「さ、さぁ〜。あの人抜けてるところありますしね」



 流石にあのポンコツ師匠でもこういう事は言うはずなのだが……。


  

 後で直接聞いてみよう。








 

                  



 

 

















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