テスト期間
結局、次の日から盛岡は部活に来なかった。
盛岡は恐らくだが、俺のことが嫌いなのだろう。なぜかは分からない。だが、偶に盛岡から俺に対しての嫌悪を感じるのだ。
まあ俺も自分のことを嫌っている相手に対してよく思うことはない。だから同じクラスでも話したりはしない。
……やっぱり部活来いよ、と誘ったほうがいいんかな? でも気が乗らないしなあ。
そんなこんなで三日経ち、七月八日土曜日、俺は今、葉月と白井とで図書館を訪れ、勉強をしています。それはなぜか? 二日後からテストだからだ!
テスト勉強サボってました。はい。
言い訳をすると部活を始めてから疲れて、家に帰ったらすぐに飯食って風呂入って寝るという生活を続けてきたのです。まあ文武両道才色兼備な女性もいるんですけどね。俺の隣に。
遡ること二日前。俺はテストの課題すら手付かずの状況に震えていた。
そんな俺を見かねて葉月が一緒に勉強しないかと話しかけてくれたのだ!
お互い部活もあるしで土曜日の午後からしようとなった。
葉月は女子バレー部で休日も、午前中に活動してるらしい。中学の頃は県大会にも行くほどの実力の持ち主。これで中間テストで学年一位なのだから驚きだよ。
白井もいるのは俺と葉月の会話を聞いて、俺も勉強会に参加したいと言ったからだ。
こうして三人で勉強をしているのだが……。
「ああ、飽きたー。どっか遊びに行かね?」
「ここ図書館だから黙って勉強しろよ」
白井が駄々をこね始めた。
まあこうなる予想はしていたさ。だけど本当に面倒くさいな。
葉月は一人で黙々としている。一週間前発表の頃には課題を全て終わらせて、自習をしているそうな。これが学年一位か。
……実際のところ勉強を教えてもらえるのかと思っていた。図書館でしてるし仕方ないけど。
赤点は絶対に取りたくないからな。
そんなことを考えていると部活に入らずに自習を受けても良かったのではないかと思えてくる。偶に先生が教えてくれるらしいし。
あー、やっぱり俺は駄目な人間だな。どうせ自習するとなったら、うだうだと文句を言うだけだろうし。
「まあ、もう二時間経ったし、息抜きしてもいいかもね」
「え、いいの!?」
葉月が珍しく言葉を発した。てか白井うるせえよ。周りの人たちこっち見てるだろうが。司書さんもムッとしてこっちに視線を向けてるし。
というか二時間経ってたのか。課題は残すところ二つになった。結構集中してやってたんだな。
「遊びに行くって言ってもなあ。そもそも勉強しに集まったんだぞ。息抜きとなるとマックとかになるかな。どうする? 行く? 勉強もできるし」
暑いし冷たいスイーツ食べたいな。マックのスイーツ結構美味いんだよ。
「いや、マックはねえわ」
「は?」
こいつ今マック馬鹿にした? 馬鹿にしたよなあ?
許せねえ。粛清が必要だ。
「まあ私はどこでもいいけど」
葉月は興味なさそうにそう応える。
塩対応が過ぎやしないかい?そんなんだからモテないんだよ?
……一回こんなこと言って足を思いっきり踏まれたことがある。あの時は本当に人との距離間とかコミュニケーションとか分かってなかったからなあ。
当時小学生だったけど流石にこれは酷いよね。俺が嫌われるのも納得。
「なに?」
「いや、なんでもない」
怖いわ。人の心読めるんかこの子は。
あ、俺が葉月のこと凝視してたからか。考え事をしているとどうしても目線が離れなくなる。俺の悪癖だな。
まあ、それは良しとしよう。今はこれからどうするかだ。
……三時だしマックでいいと思うんだけどなあ。
「んじゃあさ! カラオケ行こうぜ!」
「「え?」」
葉月とハモった。
いやでも、え? カラオケ? 普通に嫌なんだけど。
「俺、歌えんぞ」
「あ、私も。ちょっと、恥ずかしい……」
「えー! なんで! 行こうよ、カラオケ! 別に歌わんでもいいからさ。な?ほら、個室だし、集中して勉強できるじゃん」
それから白井はずっとカラオケに行きたいと言い、演説を始めた。白井は割と饒舌だ。いかにカラオケが良いかを上手く俺たちに伝えている。でもな、白井。場所が悪い。
遠くからこっちを見ていた司書さんが近づき、白井の後ろへ立った。
「あのー、お客様。他のお客様の迷惑になりますので静かにしていただけませんか」
流石はプロだなと思う。こんな奴に対しても、とても丁寧だ。目は笑ってないけど。
「あ、すいません……」
それから俺たちは図書館から出てマックに行くことになった。
やったぜ。
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