人生のやり残し
遠藤 円
煙
「お疲れ様です」
俺は深夜のコンビニでバイトしている
自宅から一駅離れたところにあるが
そのコンビニは理由があって
深夜帯だけ時給が高くフリーターの
俺にとっては好都合だったので
そこのコンビニでバイトしている
バイト終わりに駅の喫煙所で
タバコを吸ってから帰るのがいつもの
日課だった
明け方という事もありいつもは人が誰も
居ないのだが
人がいたので珍しく思った
スーツ姿のおっさんだった
これから仕事に行くのだろう
タバコに火をつけようと思ったら
おっさんはタバコを一本だけ持って
座っていたのでライターを忘れたのかと
思い声をかけた
「ライター使います?」
「ありがとう助かるよ」
何か話さないと気まずい空気が流れた
適当な話題をおっさんに振った
「ライターってすぐ無くなりますよね」
「そうなのかい?初めて吸うから知らなくて」
その歳で吸い始めるなんて珍しく思った
「なんで始めようと思ったんですか?」
「会社で吸ってる人はタバコ休憩してるんだよね
あれが羨ましくて思えて、吸ってみようかなと
思ったんだ」
「確かに、休憩してますね」
「学生時代も吸ってみたかったんだけど
真面目な学生だったから、吸ってみる勇気が出なくてそのまま社会人に」
そう言って苦笑いしていた
「どうですか?初めてのタバコは」
「想像してたより良い物じゃないね」
思わず笑ってしまった
「次も吸いそうですか?」
「もう吸わないかな、満足したから」
そう言って火を消をした
「ピーポーピーポー」
救急車の音に気を取られて居るうち
おっさんは消えていた
何故かおっさんはの言葉は心に響いた
俺も何か初めてみよう
そう思えた
人生のやり残し 遠藤 円 @koneko0417
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます