冒険者として生きてきたが実は転生していたようだ
@kurobye
第0話 プロローグ
「ごめんなさい。アナタとの将来を考えれなくなりました。ごめんなさい。
別れましょう。」
そう、結婚を考えて付き合い始めた彼女と1年半の関係を一方的に解消された。
オレとしては将来を色々考えて生活スタイルや資金繰り、彼女との同棲を視野に入れて話し合ったりしていたつもりであった。
「トオルさん側に何かあって、とかではないのごめんなさい。」
理由はただ、将来が想像できなくなったことらしい。
「はぁ~ もうフラれて2ヶ月経つってのにまだ踏ん切りつけられないなんて…」
そう独り言を呟きながら車を走らせる。
仕事帰りに温泉と美味い物でも食って気を紛らわそうと少し足をのばしていた。
「オレは全然踏ん切りつけれてないし、外は雨降ってるしで憂鬱だな!!」
自分で自分を馬鹿にするように車内で声を出し気を紛らす。
台風でもないのに土砂降りのなか目的地へと車を走らせていく。
たまにピカッと光りが飛ぶので雷も発生しているようだ。
ノイズ混じりのラジオで聞く限り一時的なものらしいが少し心配になるレベルの雷雨である。
「雷落ちて死んだら転生でもしちゃうヤツか?」
寂しさを紛らす為にフラグめいた冗談を呟く。
そんな中、稲光が轟く。
うわぁっと少し驚きの声をあげて脇見になり過ぎない程度で見えるはずもない山道の暗闇を伺う。
「今の結構近かったな~」
そう、のん気にしていたのも束の間。
眼前に炎上した大木が倒れて来た。
「あ 死」 ガシャァアン ドーン
親不孝してしまうなとか
兄夫婦の姪っ子達をもっと愛でたかったなとか
振られた彼女に最後、潔く身を引けなくて迷惑かけたな、とか
観たい映画や続きが気になってる漫画あるのにな、とか
キャンプでスモークしたチーズ、また食べたかったな、とか
その他の雑多な他愛もないことも、もう出来ないな…
そんな思いが走馬灯として光より早く駆け抜けていった。
家族も友人も普通にいた。
仕事は営業職、趣味はキャンプと映画と漫画。
体型維持の為にランニングや筋トレをする普通の男、山科徹30歳はこうして死を迎えた。
数多の後悔や未練を残してあっけなく男は死んだのだった。
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