幼少期

小さい頃の写真をたまにみる。

どれも楽しそうに笑っていて

なんだか自分じゃないようで少し違和感。


でもアルバムの途中で

笑顔の写真がぱったりと無くなる。

そして過去を思い出す。



私は年中さんから保育園に入った。

優しい先生と優しいお友達に囲まれて

みんなに愛され守られながら

それなりに楽しく笑って過ごしていたし、

父や母は子供の目から見ても仲良しで

共働きだったが寂しさを感じる時はなかった。


私は愛されていると思っていた。


私が3歳になる頃、

親戚が小さな赤ん坊を産んだ。

初めての男の子で

大人の目は全てその子に注がれ

私の名前はお姉ちゃんに変わった。


お姉ちゃんなんだから譲ってあげなさい

お姉ちゃんなんだからしっかりしなさい

お姉ちゃんなんだから我慢しなさい

お姉ちゃんなんだから.....


お姉ちゃんって何?


お姉ちゃんなのに

なんでそんな事するの!

下の子が真似してしたらどうするの!

下の子が怪我したらどうするの!

下の子が......


なんで皆怒るの?

何も悪いことしてないよ?

どうして私が怒られなくちゃいけないの?

どうして私がお片付けしないといけないの?

どうして私がお世話しないといけないの?


私がお姉ちゃんだからなの?



みんなみんな下の子ばかり。


いい子になれば皆また見てくれると思った。


だからわがままを言うのも

何かが欲しいとねだるのも

全部全部止めた。


すごくすごく我慢した。



でも、誰も褒めてくれることはなかった。


誰も私を認めてはくれなかった。


そんな私が

大きくなって両親に言われた言葉。


「お前は十分愛されて育った」

「お前には沢山のお金をかけた」

「沢山色んな人に可愛がられた」

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